ぶっ飛び!地方消滅回避策 --- 水谷 翔太

2015年11月10日 07:00

「意識改革が必要」翻訳すると「わかりません」


基本的にはどこに家を構えてどんな暮らしをして、どんな風に世を去っていくかは個々人の生活意識の問題なのであまり言及したくない。別に田舎暮らししてる奴がえらいわけでもないし、平日都会、週末田舎みたいな「二地域居住」がえらいわけでもない。そういった暮らしをしてる「何とかさん」についての本やドキュメンタリーをたまに目にしたりなんかして「こういう暮らしも楽しいだろうなー」と思うことはあっても私も含め実際にアクションを起こす人はごく一部。「何とかさん」のメディア露出を増えていけば徐々に田舎志向の人が増えていって東京一極集中は解消されると信じてる人は多いけど、地方創生のみならず「意識改革」くらいの解決策しか見出せない状況っていうのは、要は「どうしたらいいかわかりません」って場合の方が多い。

※停滞する地域は「意識」だけでは変わらない(アゴラ編集部)
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有識者は政治参画でも環境問題でも防犯でも「一人ひとりの意識が変われば情況は変わる」と簡単に言うけれど、自分が何物かを忘れてるっていうことだろう。人の意識を人が変えるって相当難しい。職場仲間や友人を居酒屋で深夜こんこんと説き伏せてもアクション伴うレベルでの意識改革は無理な時は結構ある。いわんや社会全体をや。単一の市に内包される行政区の天王寺区でも7万6千人、日本全体なら1億3千万人。全員に会うこと自体が不可能。

「企業」誘致より「起業家」誘致


1人1人会って行く以外の手段で意識を変えようと思ったら、もはや何かのカリスマでない限り無理。なのでカリスマを連れてきて田舎暮らしさせることに挑戦、成功する自治体があれば心から敬意を表したい。例えばEV(電気自動車)の「テスラ・モーターズ」や民間主導の宇宙開発「スペースX」の経営者として「ポスト・スティーブ=ジョブズ」の呼び声も高いイーロン・マスクが日本の田舎に本社置いて生活し始めたら、ビジネスで絡みたいということで都市部のベンチャー企業、人材はこぞってやってくるだろう。

理屈で考えたらイーロンが田舎に来る必然はないけど、よくよく考えたら彼はジロリアン(「ラーメン二郎」が好きな人)。毎日いつでも欲した時にデスクに二郎が届く魔法のような環境とかを提供できるなら商機はあるかもしれない。でも、よく考えたら二郎って都市部にしかない。本気でやるなら「インスパイア系」を急ごしらえするしかない。・・・と、これは冗談に聞こえるかもしれないが、実現できたらきっと楽しい。店側の協力は必須だが、ラーメン碗を小脇に抱え、テスラ・モーターズに飛び込み営業!個人的には天王寺区で挑戦してみたい。(天王寺区は田舎じゃないけど)(参考記事・「イーロン・マスク=ジロリアン」

冗談が過ぎたが、10年ほど前、三重県が「クリスタルバレー構想」を掲げてシャープの大型工場を誘致して話題になった。その後各企業が低廉で良質な労働力を求めて生産拠点が海外に移転したり、自治体間の競争が激化したりして、思うような誘致ができなくなってきている。ならば発想転換の時。「企業誘致」ではなく「起業家誘致」に舵切る時。イーロン・マスクでも誰でもカリスマと組めた自治体は強い。

自治体をVC(ベンチャーキャピタル)化


以上のように「何とかさん」に頼るのではなく、明確にインセンティブのメカニズム(田舎に来たら得だと思わせる制度)を作る方が方向正としては妥当。だけど、現実は一筋縄ではいかない。空き家バンクで低価格で大きな屋敷をあてがっても、給付金、税制優遇を与えても、ちょっとやそっとのメリットは都市での生活で享受可能な膨大なメリットに負けてしまう。もっとも何をメリットと受け止めるかは人の層によって変わってくるのでそこは明確にした上で、「ちょっとやそっと」じゃないメリットをその層に集中的に叩き込むしかないだろう。

例えば起業家、起業家予備軍的人材を集めたいと思った場合。人口10万人、年間予算500億円ほどの平均的な規模の市が1%のリスクを取ったとしたら金額は5億円。大企業からすればはした金だが、立ち上げたばかりのベンチャーからすれば、願っても無い資金だろう。行政の補助金はやたら小額だったり、使途範囲が限られていたり、いろいろと報告書をまとめないといけなかったりとこの辺の事務作業が面倒で受け取るのを敬遠するベンチャーも多いが、「本社をうちの市に置いてくれ。以上」で他は一切求めないよう条例を制定してしまえば良い。

一部の試算では、VC(ベンチャーキャピタル)が厳格に投資して尚もその会社の上場確率は10%しかないとのこと。「リスキーすぎて行政として手を出せるわけないだろ」。そうだろうか?市予算の1%のリスクテイクで10%の可能性で上場する企業が毎年3つも4つも誕生する。それはどこの自治体もがやっている定住促進フェアとか相談会より中長期的に見たら遥かに効果的。アーリーステージでは2、3人でやってても、成長していけば数百人、1000人以上の従業員数になる。大化けしたらさらに従業員数は増える。Twitterだって従業員は4000人、フェイスブックは7400人。数万人の自治体からしたら十分に大きな人口増だろう。ゆるキャラにご当地グルメにPVに六次産業に空き家活用に・・・幅広いジャンルでだらだらやって、いたずらに予算を増やし続けるより、テーマを絞ってとことんやれば良い。

水谷翔太
大阪市 天王寺区長
ブログ・http://www.mizutani-shota.jp

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