ネット投票を実現する戦略を議論した

2015年11月13日 14:40

情報通信政策フォーラム(ICPF)でネット投票について議論した。AKB選抜総選挙のシステム運営者から話を聞いたのだが、選抜総選挙でのネット投票総数は300万を超えているそうだ。エストニアは公職選挙でネット投票を実施している国として有名だが、ネット投票総数は30万前後に過ぎず、AKB選抜総選挙はその十倍の規模となっている。それが不正投票もなく、システムダウンもなく運用されているのだから、技術的には実用に耐えられるものができているといえるだろう。

どうしたらわが国でも公職選挙にネット投票を導入できるかに、ICPFでの議論は集中した。2013年にネット選挙運動が解禁されたが、その際の手法を見習うべきということで会場の意見は一致した。この場合には、今までの選挙運動の形態を一切否定することなく、ネット選挙運動に関する規定を公職選挙法に追加したことが特徴である。それによって、旧来の選挙運動に強いこだわりを持っている現職議員の反発が抑えられた。投票形式も議員生命を左右するので、現職議員の抵抗を押さえるためには、今までの投票形式はすべて認めたうえで、ネット投票を導入するのがよい。

その際、今までの投票形式で不利を被っている国民の投票機会を保証するという点を強く主張すべきということになった。在外邦人には在外選挙制度があるが、大使館等に出向いたり、郵便で投票したりすることに壁が高く、在外邦人のうち選挙人登録している割合は1割程度である。船舶の乗組員のために洋上投票という制度があるが、ファックスでの投票のため、投票の秘密が守られていない。障害者には代理投票や点字投票の制度があるが、利用率は低い。島しょ部などにも、投票所が早く締められるなどの不利がある。これらの人々に他の国民と同様に投票参加機会を保証するには、ネット投票が適している。

投票参加機会を保証するという理由であれば、今までの投票形式にこだわる現職議員も抵抗できない。今までの投票形式はすべて認めたうえで、上に説明したような一部の人々にネット投票を導入するというように攻めれば、わが国でも、遠くない将来に公職選挙で利用されるようになるだろう。

山田 肇 東洋大学教授

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