不振の株式市場、どこに行く?

2016年04月05日 10:26

ニューヨークの株式市場は健全さを保ち、ダウ平均は2月11日の15660ドル台から現在17800ドル近くまで戻しています。実は恐怖指数(ボラティリティ指数、VIX)も直近のピーク28.14を同じ2月11日につけたあと、現在13程度とこの5年でもかなり低い水準まで落ち着いています。(2014年に10.30程度まで下げているのが最低レベルです。)言い換えれば世の中安泰、市場も安らかな空気に包まれているということでしょうか?

上海総合も1月下旬に2655ポイントをつけた後、じわっと回復し、3000ポイントを奪取しました。中国経済が落ち着いたとは思えませんが、例えば中国証券監督管理委員会のトップであった肖鋼主席が2月20日に解任されています。中国に於いて政治的理由を別にすれば政府高官が解任されることはまずない世界ですが、昨年夏の株価急落直前に株価の旗振りをしていたことやサーキットブレーカー問題などが重なり、クビになりました。このクスリが奇妙に効いているのか、はたまた中国の国会である全人代も終わり、方向が定まったということなのでしょうか?

では原油はどうでしょうか?これも時を同じく2月11日がキーデートとなっています。この日に26.21ドル/バレルをつけた後、反発に転じており、現在、37ドル程度であります。原油価格については一時期40ドルを越える状況でしたがその後、減産に対する疑念、更にイランの「勝手増産」で産油国の足並みがそろわない可能性が指摘され、価格は弱含んでいます。ですが、このところの相場をみると原油価格の緩み具合に対してダウなどは見てみぬを振りをし、ほとんどニュースにもならない状態であります。

そのような一種の「凪」であるはずの世界のマネー市場ですが、どうも日経平均だけは不振というか、他とは違う動きをしています。チャートで見ると正月明けの大きな下落から立ち直った後、日経平均は16000円と17000円の間をレンジで動いています。そして、現在は16120円台(4月4日時点)ですのでレンジのほぼ下限に近いところに接近してきたともいえます。

日経平均は4日の時点で5日連続安。過去12日営業日の上げ下げを示すサイコロは3勝9敗と大幅な負け越しですが、「凪」であればそろそろ下げ止まってもよいはずなのですが、どうも思惑通りに行っていません。

理由は後付けであればいくらでもつけられます。円相場は現在、111円台前半で110円を超える円高も視野に入ったとする専門家も増えてきています。日本の四半期GDPは前回の消費税引き上げから7回発表のうち4回がマイナスの数字でした。その為、この時期に及んで再び、来年4月の消費税引き上げに関して内外から様々なボイスが飛び交っていますが首相は表向き、スルーしています。(但し、来年消費税を上げないなら法案改正をしなくてはいけないとは言及していますから頭の中にはオプションとしてはあるのだろうと思います。)

日本企業のポジショニングも不明瞭かもしれません。キャッシュを貯めこんで投資しない日本企業というイメージは強く、企業の成長に対する姿勢も評価されにくい状況です。日経ビジネスには「自動化専門家が断言、移民よりまずはロボット」という記事があり、ロボット化を進めれば少子高齢化でも対応できると堂々と書き上げています。しかし、これは労働市場という一断面を見ただけの話で経済全体の規模は人口減や高齢者の消費力の減少で規模縮小するのですからロボットが日本を救うような都合のよい話はありません。

為替をみていると日銀が円安誘導で間接的に頑張ったのですが、日本円が世界の通貨の中でフェイドアウトし、地位が薄れつつある気がします。安全通貨という言い方は裏返してみれば主導権を持たず、大枠からはみ出さない通貨ともいえます。事実、日銀がどれだけ頑張っても円は安くならず、思惑と逆に向かっています。

今日のポイントですが、株式市場や為替市場を通じて見える日本の地位は本当に大丈夫なのか、という疑問です。なんとなく大きな市場、なんとなく世界で通じる円、だけど日本のポジションって何だろう、日本から発信された凄いと思わせるものが最近あっただろうか、と思えてくるのです。世界で起きている様々な事象の中で日本のニュースが埋もれつつあり、これが外国人投資家にそろそろ「浮気しようか」と資金を引き揚げる状況になってやしないでしょうか?

昨日、トヨタは年初来安値をつけました。王者として君臨しているだけでは株式市場では評価されないということなのでしょう。何とも難しい世の中になったとも言えそうです。

では今日はこのぐらいで。

岡本裕明 ブログ 外から見る日本、見られる日本人 4月5日付より

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