世界のマイナス金利政策を確認してみた

2016年05月08日 19:30

格付け会社のフィッチは、利回りがマイナスとなっている国債の残高が4月25日時点で、世界で9兆9000億ドルに達しており、このうち3分の2を日本、残りを欧州が占めると明らかにした(ロイター)。

これは当然ながら日欧の中央銀行の金融政策によるところが大きいが、マイナス金利とマイナス金利政策は異なることにご注意いただきたい。マイナス金利政策とは中央銀行の政策金利をマイナスとすることであり、債券のマイナス金利は流通市場で金利がマイナスとなることである。流通市場での債券利回りのマイナス化は、たとえば日本での2年債の利回りが初のマイナスとなったのが2014年11月であったように、政策金利がマイナスとならずとも発生する。しかし、足元の金利でもある政策金利をマイナスとすれば、それは長期の国債の利回りも押しつぶすこととなり、それによりマイナス金利となる国債が増加することも確かである。

中央銀行のなかでのマイナス金利政策を導入している国はどのようなところがあるのか、あらためて確認してみたい。

世界で最初に政策金利をマイナス化したのはスウェーデンとされる。スウェーデンの中央銀行であるリクスバンクは,2009年7月から2010年9月まで政策金利の一部がマイナスとしたが、実際にはマイナス金利が適用されないようにしていたことで、実質的な世界初のマイナス金利政策はデンマーク中銀となるのかもしれない。

2012年7月にECBの利下げに合わせて、デンマーク中銀は主要政策金利である貸出金利を0.25%引き下げ0.20%にした。その際に政策金利の下限である譲渡性預金(CD)金利を0.05%からマイナス0.20%に引き下げた。これはEUには属しているがユーロ圏には入っていなデンマークが、自国通貨のクローネが、ユーロに対し強くなり過ぎないようにするための措置であった。その後、デンマーク中銀は譲渡性預金(CD)金利をプラスに戻したが、2014年9月に再びマイナスとしている。デンマーク中銀のマイナス金利は銀行毎に中銀預金の上限を設定し、それを上回る部分にマイナス金利が適用されるかたちとなっている。

デンマークに続いてマイナス金利を導入したのはECBである。2014年6月のECB理事会で政策金利を0.1%引き下げ、リファイナンス金利を0.25%から0.15%とした。コリドーとよばれる政策金利の上限と下限については、上限金利が0.4%に引き下げられ、下限金利であるところの中銀預金金利(預金ファシリティ金利)をマイナス0.1%としたのである。ECBの場合は法定準備分を除いた超過準備全体にマイナス金利が付与される。

ECBがマイナス金利政策を導入したことで、この後、スイスは2014年12月に中銀要求払い預金金利をマイナス0.25%とした。そしてスウェーデンも2015年2月にあらためてマイナス金利政策を導入した。次にマイナス金利政策を導入したのが2016年1月の日銀となる。

ハンガリーの中央銀行であるハンガリー国立銀行は、2016年3月に政策金利の下限と位置付ける翌日物預入金利を0.1%からマイナス0.05%に引き下げた。ハンガリー中銀は主要政策金利を1.35%から1.20%へ引き下げ、翌日物預入金利はこの金利より1.25%低く設定すると定めているため、マイナスになったのである。

このように現在、マイナス金利政策を導入している中央銀行は、デンマーク国立銀行、ECB、スイス国立銀行、リクスバンク(スウェーデン)、日銀、ハンガリー国立銀行の6つとなる。

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編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2016年5月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

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