安倍首相は伊勢志摩サミットで手腕を発揮できるのか?

2016年05月09日 10:14

5月26日、27日に伊勢志摩でサミットが開催されます。ニュース閑散期にも拘わらず、あまり話題にならないのですが、現時点で感じることを記しておきたいと思います。

サミットの参加メンバーを改めて見回したいと思います。
アメリカ、カナダ、ドイツ、イギリス、フランス、イタリア、欧州連合、そして日本です。安倍首相はその根回しとしてゴールデンウィークを利用して欧州を回ってきています。

では、開催まで3週間を切った現時点でなぜ、あまり盛り上がらないのか、ですが、思うところを二つ指摘しておきます。一つは主要テーマがありそうでないこと、二つ目はG7の協調からは程遠い現実があることではないかと思います。その為に個人的には安倍首相にとってかなりやりにくいというか、目に見えた成果を出しにくい消化スケジュール的な結果になる気がしています。

テーマですが、金融、財政、構造改革、テロ、IS、北朝鮮、南シナ海問題などでしょうか?どれも重要なのですが、どれも新味がないテーマです。では参加国の興味はどうなのでしょうか?

アメリカはレイムダックのオバマ大統領が最後のサミットに臨みます。次期大統領選も進む中、オバマ大統領の存在はかすむ一方です。よって声はあげられても実行能力はかなり低いと見られます。カナダ、トルドー首相はいかにも「小僧」にしか見えません。カナダに住む私からすればカナダ版ジャニーズで経験不足は否めません。

欧州ですが、正直、域内で難しい問題を抱え過ぎています。おまけにパナマ文書がサミット前に公表される可能性が高く、その内容次第ではイギリスのキャメロン首相には刺激的な状態になるかもしれません。安倍首相はドイツ、メルケル首相と財政出動について事前調整を図りましたが、メルケル首相は財政出動をするつもりがなくやんわりと否定された形となっています。

財政出動についてはドイツ側と安倍首相の期待する中身が違うのだろうと思います。ドイツは難民受け入れに伴い、各方面に相当の国家支出を強いられています。また、テロ対策費用もかさんでおり、今さら安倍首相が描くような目に見えた財政出動を更に行うことは難しいというスタンスかと思います。

欧州組、つまり、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、欧州連合は自分の地域のことでいっぱいです。安倍首相が釘を刺したい南シナ海問題は欧州にとって直接的利害関係が起きにくく、AIIBに賛同する立場として中国を刺激したくないという気持ちがありありと見えています。例えば安倍首相が欧州におけるテロとの戦いをどれだけ叫んでも日本政府、日本の世論はなかなか実感がわかないでしょう。これと同様でやむ得ないことだと思います。

となればG7は欧州、北米、日本という括りで見る限り、何をもって共通の話題とするのか、というその使命について岐路に立っているような気がします。あえて言うなら、「イギリスよ、EUから脱退しないでくれ」については共通の認識を持てると思いますが。(これにトランプ氏が参加するようになった場合、あまのじゃく的な氏はどうかき混ぜるのでしょうか。ちなみに彼はイギリスのEU離脱は賛成派です。)

サミットは1975年に初会合が開かれたのですが、その背景はオイルショックと冷戦構造でありました。つまり、非常に明白な問題、特に冷戦は体制上の問題でしたから毎年開催する意味を持ったわけです。その冷戦が終わり、98年にはロシアも参加したサミットは新たなる時代に入ったと言えます。が、いわゆる世界会議が花盛りの今日、サミットをあえて開催しなくてはいけない理由も少なくなってきた気がします。

言い方は悪いのですが、機能しない国連のようなものでもっと実効性があるものではないとただずるずると毎年やっているだけの会議になりそうな気がします。テロとの戦いという非常に特定される分野についてはむしろ、そちらの特定サミットを立ち上げるべきでしょう。

では経済問題は共通の話題になるか、といえば、なるようでならないような気がします。例えば安倍首相の求める為替の安定化は現在のマネーの在り方を全面的に見直さないと達成しえません。理由はこの20年ぐらいにショート(売って儲ける)というコンセプトが確立したこととレバレッジを効かせるための様々な工夫が民間で開発されたからであります。つまり、為替は非常に体の良い「おもちゃ」であり、基軸通貨ドルをもつアメリカに有利な展開ですからこの首根っこを構造的に変えないと厳しいと思います。為替の安定など数十年も言い続けているテーマですが結局、口先だけで何も解決できていないのです。

G7において欧州は欧州のインタレスト、アメリカは北米へのインタレスト、日本はアジアへのインタレストが強く、各国がそれに引き込もうと躍起になっています。しかし、余りにも無理強いする連携、提携関係は各国間の関係にゆがみを生み、大戦前の帝国懐古主義にも見えたりします。

サミットの意義は何なのか、単なる井戸端会議なのか、このあたりの位置づけをきちんとしないと安倍首相の議長の役目は裏目に出ないとも限りません。

昨年は世界の舞台で高い評価を得た安倍首相ですので今回もうまくこなすとは思いますが、単に議長を無難に終えることではなく、サミットを行う重要性を訴えないと辛口の評論家がペンを構えて待っていることでしょう。

では今日はこのぐらいで。

岡本裕明 ブログ 外から見る日本、見られる日本人 5月9日付より

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