【映画評】デッドプール

2016年06月02日 06:00
DEADPOOL
ウェイドは、以前は凄腕の特殊部隊の隊員だったが、傭兵に転身してからは、ヒーロー気取りで悪者を気まぐれに痛めつけては金を稼いでいた。愛する恋人ヴァネッサとの結婚を控え、幸福の絶頂にあったが、いきなり末期ガンだと診断される。謎の組織から、ガンの治療と引き換えに人体実験を受けるよう提案され、それを承知したウェイドは、不死の身体を手に入れるが、全身ただれた無残な姿に。ヴァネッサにもう一度会うため、ボロボロの顔を隠した自前の赤いスーツに身を包み「デッドプール」と名乗りながら、自分を肉体改造した宿敵エイジャックスを探すのだが…。

アメコミヒーローの中でも極め付けの異色ヒーローを描いたR指定のアクション映画「デッドプール」。能天気で無責任、下ネタ全開、おしゃべり好き。正義や人助けには無関心でマイペース。悪者を退治するのに、キティちゃんのバックに銃をつめ、タクシー(無銭乗車!)で移動しながら、運転手の恋愛相談にのる。こんなヒーロー、見たことがない。演じるのは主演・製作を務めるライアン・レイノルズで、彼は「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」でもこのキャラを脇役として演じているのだが、本作ではまさかの主役である。どこまでもいいかげんなヒーローだが、そのアクションはバイオレンス満載で本格的だ。しかも、エロ路線まっしぐらだと思っていたウェイドとヴァネッサの恋愛は、高純度のピュアなラブストーリーなのである。

あ~、びっくりした。少々マンネリ化してきたアメコミヒーロー映画に、こんな突破口があったとは。映画ネタ満載なので、映画オタクもしっかり楽しめるし、80年代の音楽をふんだんに使っていて、アラフォー世代にも寄り添った作り。冒頭にはなんと「バカ映画の始まりです」という開き直ったようなテロップが入って、いきなり先制攻撃されてしまうから要注意だ。こんな“俺ちゃん”、嫌いになれない。

【65点】
(原題「DEADPOOL」)
(アメリカ/ティム・ミラー監督/ライアン・レイノルズ、モリーナ・バッカリン、エド・スクライン、他)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2016年6月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

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