参院選、対立軸にならない野党のボイス

2016年06月23日 09:57

7月10日の参院選に向け国内もにぎやかになってきました。予定外の都知事選も控える中で国政や都政を見直すにはよい機会かもしれません。

さて、その参院選ですが、第一声を聞く限り、いつもの通りですが、与党の方針に対してNOを突きつける野党の構図が相変わらず繰り返されています。こんな野党を信じますか?私は嫌です。

「対立軸」とは「対立する議論、抗争の中心である事柄。両者の考え方の違い。争点」(コトバンク)であり、一般的にはA案とB案という考えがぶつかり合い、選挙民に判断を乞うことだろうと思います。ところが報道の見出しは日経が「アベノミクス再審判」、つまりA案の考え方に同意するか、NOなのかを問う、ということになります。

ではA案が嫌いな野党はNOの後に何を用意しているのか、といえば何もないのです。民進党の岡田代表は「将来に希望を持てる状況をつくりだすことこそが経済成長にもつながる。安心してお金を使える状況にし、分配と成長を両立させることこそ本当の経済政策だ。」(日経)と声を上げるのですが、この言葉の意味を理解できる方はどれぐらいいらっしゃるでしょうか?私にはさっぱりわかりません。

子供じゃないのですから論理的に説得力があるプランを見せてもらわないとB案も面白そうだという評価にはつながりません。日本の経済をどうしたいのか、雇用者をどうしたいのか、具体的にビジョンを作らねばなりません。

例えば英国のEU離脱を問う国民投票を見てみましょう。これはYES,NOの判断ではないか、とおっしゃるかもしれませんが、A案(残留)とB案(離脱)が双方、強い主張のもとメリットデメリットを訴えています。国民は両案を聞き、世論の論評を聞き、友人と話し、家族で話題にして深堀します。つまり、選挙期間中に争点となる題目についてそれぞれの言い分を聞いた上でなるほどと思う方に投票します。

その点、最近の日本で明白な争点があったものとしては原発のあり方があったと思います。これは一定のルールのもとで原発を残したい政府や電力会社の言い分に対して原発の潜在的リスクを指摘するグループと大きな論争となりました。

では今回の参院選の数多くの争点の中で経済関係についてはどう展開すべきでしょうか?

数多くの切り口がありそうです。例えば高度成長期のころのような国民が一丸となって汗を流した時代を再現したいのか、若者が夢と希望を持てる社会を築く一方で高齢者は老後のお金や生活の心配をしなくて済む社会を仕組みとして作り出したいのか、成熟社会とAIやITの高度な発展を見越してベーシックインカム制を検討するのか、医療費の増大を解決するためにホームドクター制度など二段階医療を取り入れるというアイディアもあるでしょう。

各党は日本をどうしたいのか、そのビジョンとプロセスを示していただかないとアベノミクスを葬り去るべきか判断が出来ないのであります。

野党はTPPも反対ののろしを上げているのですが、どう反対なのか、わからないのです。FTAやEPAはいいけれどTPPだけが反対なのか、外国との垣根をとるような協定は何でもかんでも反対なのでしょうか?「農家の一部の懸念の声を拾い上げて」ということになっていますが、それが心底反対するボイスなのか、今までやったことがない挑戦への心配なのか、そのあたりの分析はできているのでしょうか?

TPPは今や政治的駆け引きになっています。TPPが潰れれば中国が高笑いします。ところが現実的にはTPPが成立する可能性は個人的には3割以下だとみています。そのためにすでに各国では代替案として個別FTA、EPAの早期確立に向けた動きが展開され、そのうちにTPPのバックアッププランも出てくると思われます。そのあたりを読み込んだうえでの反対の声なのでしょうか?

かつて北アフリカの春ではSNSが独裁政権を崩したとして大きな話題になりました。しかし、それらの国では新政権樹立後、方向性が迷走し、非常に苦しい政権運営となっています。なぜならそれらの国民は独裁政権を倒すことに勢力を置き、どのような国づくりをしたいのかは二の次だったためです。

今の野党のボイスはまさに北アフリカに於いて「打倒!独裁政権」と叫んでいるようにしか感じ取れません。野党が歩調を合わせられるのは「安倍政権を潰せ」だけです。あとは各党がそれぞれの譲れない個性をぶつけ合います。ここが野党の最大の弱点でしょう。ただでさえ分裂化している野党と意固地な政策は結局、安倍政権を安定化させることに繋がらないでしょうか?

では今日はこのぐらいで。

岡本裕明 ブログ 外から見る日本、見られる日本人 6月23日付より

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