【映画評】ボクの妻と結婚してください。

2016年11月08日 06:00
ボクの妻と結婚してください。 (講談社文庫)

バラエティー番組の売れっ子放送作家・三村修治は、ある日突然、末期ガンで余命6ヶ月と宣告されてしまう。ショックを受けた修治だったが、延命治療で家族と静かに最期の時を過ごすのは“面白くない”と感じていた。修治は放送作家として、世の中の色々な事を“楽しい”に変えてきたからだ。残された家族のために何ができるか考えた修治は、専業主婦の妻・彩子とまだ幼い息子を自分の代わりに支えてくれる、妻の結婚相手を探そうと思いつく…。

余命宣告を受けた男が、家族の未来のために妻の結婚相手を探すというユニークな家族愛の物語「ボクの妻と結婚してください。」。ベースになっているのは、樋口卓治の同名小説だ。主人公・修治の最後の“企画”は、妻の最高の結婚相手を探すこと。前半は、この突拍子もない思いつきを実現すべく、結婚相談所を営む友人に協力を仰いだり、婚活パーティーに乗り込んだりと、コミカルに進んでいく。余命半年という部分を忘れてしまうほど、修治は前向きで活動的だ。もちろん、元気で誠実で子供好きで家庭的…という相手への理想像を描きつつ。

だが物語の最初から、誰もが、この婚活は修治の一方的な希望にすぎないということは分かっている。奇跡的にみつけた理想の相手の伊東はこのことを納得するのか?何よりも妻の気持ちはどうなんだ? すべてが死に行く修治の願い通りに進み、擬似結婚式や息子との感動的なやりとりなど、涙のエピソードが続くので、これもまた家族愛の形なのか…と無理に納得しようとしていると、映画の終盤に、ある仕掛けが。家族のために懸命に働いてきた主人公が、いかに妻から愛されていたかが分かり、この風変わりなエンディングノートの本当の意味がすべて腑に落ちるのだ。婚活と終活を同時進行させる、ユニークで悲しくてあたたかい大人のファンタジーである。
【60点】

(原題「ボクの妻と結婚してください。」)
(日本/三宅喜重監督/織田裕二、吉田羊、原田泰造、他)

(ユニーク度:★★★★☆)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2016年11月7日の記事を転載させていただきました(アイキャッチ画像は公式サイトより)。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

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