【映画評】続・深夜食堂

2016年11月09日 06:00
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路地裏にひっそりとたたずむ、カウンターだけの小さな店“めしや”には、マスターの作る味と居心地の良さを求めて、毎晩、客が集まっている。ストレス発散のために喪服を着る趣味がある範子は、実際に葬式で出会った男に惹かれる。老舗のそば屋の息子の清太は、母が子離れしてくれないため、年上の恋人を紹介できずにいた。そして九州から出てきた初老の夕起子は、金に困った息子のため、息子の知人だという男に大金を渡してしまう。春夏秋冬、ワケありの客がめしやを訪れ、それぞれの人生が交錯するが…。

 

サブ2 のコピー安倍夜郎の人気コミックを基にしたドラマを映画化しヒットを記録した劇場版の続編「続・深夜食堂」。寡黙だが、あたたかい人柄のマスター同様に、今回もまた、ほっこりとしたドラマが紡がれる。だが単なる人情話だけではない。喪服を着るのが趣味のキャリアウーマンの範子は仕事でかかえるストレスに悩んでいるし、老舗そば屋は後継者問題と子離れ、結婚と問題山積み。オレオレ詐欺というのっぴきならない問題も描かれ、きちんと現代社会を照射している。エピソードは前作同様に、人と人との、とりわけ親子の情愛があって、めしやの常連客がそれぞれの役割を果たしながら、問題解決に導いていくというスタイルだ。

前作でマスターから救われたみちるが、今度は、息子への複雑な愛情を胸に秘める初老の女性・夕起子を親身になって助ける姿には、このシリーズを象徴する温かさがにじんでいる。みちるはその優しさを「自分はマスターに助けられたから、今度はそのおすそ分けなんです」と表現するのだ。路地裏で暮らすお巡りさんや刑事たち、ヤクザの常連客までもが、めしやに来れば皆“いい顔”になる。ここでは決して豪華な料理は登場しないが、焼肉定食、焼きうどん、豚汁定食などには、涙を隠し味に、人の心を癒す特別な味付けがなされているのだ。それにしてもマスター自身の恋は今回もまた、もどかしい。次回作を期待したくなる映画だ。
【70点】
(原題「続・深夜食堂」)
(日本/松岡錠司監督/小林薫、佐藤浩市、池松壮亮、他)
(ほっこり度:★★★★☆)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2016年11月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

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