有識者会議の専門家ヒヤリングは、それなりに国民各界各層の代表的意見を反映したもので、それぞれに相応の説得力がある質の高いものだったと思う。
専門家相互間のディベートが行われたわけではないから、それぞれの議論の優劣は付けがたいだろうが、有識者の皆さんの技量が問われるのはこれからである。
専門家の間で議論が分かれているところをどうやって纏めていくか。
纏め方が悪ければ意見を開陳された専門家の方々からクレームなり異論が出てきて、とても国民的合意の形成には繋がらないだろうし、初めから結論ありきのような運営だと、出来レースだ、茶番だなどという批判を招いてしまって、有識者会議の出す結論の権威なり信用性を損ねることになってしまう。
実に難しい仕事だと思うが、何とか上手に進めていただき、出来るだけ早く結論を出していただきたいものである。
私自身は、憲法の改正にも皇室典範の改正にも積極的な立場ではあるが、国民的な合意がないのに憲法改正や皇室典範の改正を強行することには反対しているので、何はともあれ無理はされないようにお願いしておきたい。
皇室典範の全面改正を求める声が相当に高いと思うが、皇室典範のどこをどういう風に変えるべきか、という議論になるとまず纏まらないだろうと思っているので、私は皇室典範の改正を視野に入れたうえでの譲位(生前退位)を可能とする特例法の制定を提唱している。
勿論、皇室典範の全面改正について国民的合意が成立するのであれば、これに従うのは当然である。
しかし、現行の皇室典範には手を触れさせたくないと思っておられる方々が一定程度おられることは事実なので、皇室典範の改正が俎上に上れば、譲位(生前退位)制度の導入は結局出来なくなるだろうとも考えている。
まずは、有識者会議の皆さんがどんな結論を出されるのかを待っているところである。
今のペースだと、有識者会議の結論が出されるのは来年の2月頃、というところか。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2016年11月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。