五輪仮設費用の一部負担は現実的かつ戦略的な判断

音喜多 駿

こんにちは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。

議案調査日である昨日は、一般質問原稿の作成に従事しておりましたが、先日の知事所信表明からもうひとつ取り上げて解説します。

五輪仮設施設、都外分も費用負担検討 小池知事表明
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG22H2Q_S7A220C1MM0000/

こちらも大きなニュースとなりました、五輪の仮設費用負担。

そもそもの計画では常設施設は各自治体、仮設施設は五輪組織委員会という住み分けで話が進められてきたにもかかわらず、五輪組織委の収益が足りないことが明らかになると(誰の目にも最初から明らかでしたが!)、途端に自治体負担を求めるという展開になり、各自治体から不満の声が噴出していました。

昨年12月の報道によると、五輪組織委の森会長は自治体負担の流れに抗議をする各首長に対して、

「立候補ファイルは都が作った。文句を言われるのは筋が違う」
「(整備費負担には)きちんとした整合性がない」
「都知事には9月に早く話を進めてくださいとお願いしたが、東京都が始めない。それが遅れた原因」

などと発言をしていますが、とうてい看過できるものではありません。

五輪組織委による総予算の策定・公表が遅れに遅れ、小池都政と調査チームの突き上げによって予算が明らかとなり、ようやく様々なことが表に出たというのが事の経緯です。

予算を策定していた五輪組織委は、とっくに仮設施設の費用が組織内でまかなえないことなど気づいていたはずで、その時点で各自治体と協議を始めなかったのは明らかな怠慢であり、責任放棄であると言えます。

こうした事態に対して、昨年9月には調査チームが仮設費用の一部負担を模索。さらには昨日の知事所信表明演説にて

「他の自治体が所有する施設を含め、都も負担することを排除せず、検討するように事務方に指示した」

旨の踏み込んだ発言が行われました(全文はコチラより)。

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(画像は知事公式FBより引用)

確かにこれにより、都の負担が増えることは望ましいことではありません。しかしながら、当初計画の財源不足が明らかである以上、最終的には誰かが(あるいは誰もが)費用を負担しなければならないことは確実です。

であれば、協議が本格化する前に「都も費用負担をする」と宣言することで、この議論のイニシアティブを握るとともに、主要なステークホルダーである各首長からの「信頼」を勝ち取ることができます。

五輪組織委への不満がピークになっている今、これを機に不透明・不合理な意思決定体制くつがえしていく一手として、私はこれは英断であると思います。

原則論や理想論にこだわって、最後まで負担を回避する方向で議論を続けていれば、最終的には五輪組織委に仕切られて「痛み分け」になり、都も費用負担をする結末で終わった可能性が高いです。

現実を見据え、戦略的に素早い判断を下した今回の動きについては、都民目線でも納得できる方は多いのではないでしょうか。

もちろん、費用負担の検討は明言したものの、具体的な金額や割合などはこれからです。都民の負担が過度なものにならないよう、しっかりと計画や協議の行方に注視し、議会からも働きかけを続けていきたいと思います。

それでは、また明日。

おときた駿 プロフィール
東京都議会議員(北区選出)/北区出身 33歳
1983年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループで7年間のビジネス経験を経て、現在東京都議会議員一期目。ネットを中心に積極的な情報発信を行い、日本初のブロガー議員として活動中。

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