総選挙は刺客対決の「化かし合い」になるのか

2017年09月21日 09:30

首相官邸サイトより

若狭勝氏らが旗揚げを進めている新党との関わりあい方について、小池百合子氏のトーンが若干変わってきているようだ。都議選直後に都民ファーストの会代表を辞任したように、当初は、都政に専念する姿勢を強調。新党について表向きは若狭氏が主導してきたわけだが、衆院解散が報じられると、新党の代表就任が取りざたされはじめた。

小池氏、W選挙で乾坤一擲の打ち手⁈

ここまでの解散シナリオは明らかに安倍首相の思惑通り、政権、現職有利に進んでいる。もちろん安倍首相にとって、年が明けて小池新党が人材と政党助成金も得て体制を整える前の「新党封じ」も解散を決断した理由の一つであろうから、当然の流れではあるが、組織も資金力も圧倒的に劣る小池氏としては、得意のマスコミ露出を通じたプレゼンスを高める事でしか有効な対抗手段はない。すでに早川忠孝氏も期待を寄せているが、小池氏自ら前線に立つかどうかは分岐点になりそうだ。

ただし、前線に立つと言っても、都知事のまま代表に就任し、各地の選挙戦で応援に立つのは世間の想定内だろう。戦場を一望する地点に姿を現すものの、馬印を立てるくらいの程度の露出効果に過ぎない。しかし、ここまで政敵、メディア、都民の虚を突きまくってきた小池氏のことだ。小池氏が東京10区に舞い戻る形で自ら衆院選に出馬し、代わりに若狭氏が都知事選にW鞍替えするというサプライズを仕掛けてくるシナリオも浮上しているようだ。

実際、きのう(20日)の段階で、記者団から衆院選出馬の可能性を問われた小池氏は、「いろんな想定外、想定内があると思うが、環境を見ながら都にとって、国にとって何がいいか、最善の方法を考えていく」と述べたようだ(コメントは読売新聞より)。

アゴラ執筆陣では、自民党の川松真一朗都議がここのところツイッターで警戒感を示している。

刺客擁立は「劇場化効果」が高いが……

ここで考えたいのは、小選挙区の衆院選は当選者1人のノックアウト方式であり、小泉政権下の郵政選挙が典型なように、知名度や経歴などスペックの高い候補者を刺客として送り込むことが「劇場化効果」を高めることだ。

今回の選挙戦の構図で刺客というと、小池新党が、都内のほぼすべての選挙区に候補者を擁立する場合、都知事選当時の自民都連の重鎮たち、下村博文氏の11区、石原伸晃氏の8区、萩生田光一氏の24区などには強烈な刺客候補を送ってくることが以前から取りざたされてきたが、しかし、刺客を送るのは小池新党だけではない。逆に10区の若狭氏に対し、自民党側からも刺客を送ることができる。順当に考えると、アゴラ執筆陣の一人でもあるが、比例東京選出の鈴木隼人氏が立つところだが、若狭氏と知名度の開きは否めない。ここで政界以外の新人も含め、皆が驚き、有権者への訴求力があるビッグネームを擁立すると、若狭氏が一転ピンチに陥る可能性もある。

もちろん、刺客を送るのは自民党だけではない。民進党も離党組に対する「報復」と残留組への「引き締め」の意味合いから、見せしめ的に刺客を立ててくる可能性は高い。細野豪志氏の静岡5区に、民進・社民・自由の統一候補で、なおかつ共産が候補者を擁立しないという形でかつての山本太郎氏のような左派系著名人を突っ込んでくることも理論上はあり得る。

小池氏も若狭氏も「刺客」の応酬は読んでいるところだろう。他党による刺客を返り討ちし、なおかつメディア露出のプレゼンスで安倍政権の思惑を狂わせるには、自らの国政転出を含めた「衆院選・都知事選W選挙」は確かに劇薬的なインパクトはある。

「化かし合い」は面白いが、「馬鹿試合」への危惧

しかし、劇薬には副作用もつきまとう。小池新党に「期待する」「期待しない」を尋ねた各社の世論調査では、産経が拮抗。朝日は「期待する」が49%と高めながら「期待しない」も39%と低くはなかった。これが良い方向に変わる可能性もあるが、「選挙ありき」の批判を免れず、悪い方向に変わるリスクもある。また都知事選の選挙期間は、衆院選より5日長い。もし10月22日投開票で同一にするなら、都知事選の告示日は10月5日。つまり今日から2週間後のことで、W選挙は非常に困難なところだ。

そう考えると、「いろんな想定外、想定内」という小池氏の発言は、他党へのけん制や、疑心暗鬼に陥らせるためのパフォーマンスにも見える。しかし各党には、刺客戦術も含めた「化かし合い」は確かに面白いが、「馬鹿試合」にならないようさじ加減に留意いただきたいものだ。魅力的な候補者擁立による刺客対決で有権者の関心を高める点では悪いことばかりではないが、朝鮮半島対応から社会保障まで、本質的な政策論争でガチンコ勝負こそ、国民は望んでいる。

同時に朝日新聞などのリベラルメディアも安倍首相の解散決断をdisりまくっているが、拙著「朝日新聞がなくなる日 – “反権力ごっこ”とフェイクニュース 」(ワニブックス)で指摘したような「反権力ありき」の旧来型フレームワークに陥った選挙報道は少しでも見直してもらいたいところだ。

個人的に注目している選挙区については、また追い追い取り上げていく。

アゴラでは引き続き「著者セミナー」もやっております(次回は10月11日開催)。11~12月には第3期の出版道場も開催予定です。

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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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