オーストリア、同性婚を承認へ

2017年12月07日 11:30

オーストリア憲法裁判所は5日、同性愛者の婚姻を2019年1月1日から認知すると発表した。同国では2009年、「登録されたパートナーシップ」が導入され、その翌年から施行されたが、同性婚は認められなかった。

憲法裁判所は同性婚認知の理由として、「同性と異性間の婚姻に対する異なった対応は差別禁止法に違反する」と説明し、関連法の改正後、19年1月1日付で同性婚を認めるという。欧州ではこれまで15カ国が同性婚を認知している。

▲ウィ―ン市庁舎前広場のクリスマス市場風景(2017年12月2日 撮影)

▲ウィ―ン市庁舎前広場のクリスマス市場風景(2017年12月2日 撮影)

同性婚認知のニュースは社会民主党、「緑の党」、ネオスなど政党が次々と歓迎を表明する一方、国民党と連立政権に参加予定の極右政党「自由党」は批判し、国民党に対しても「反対せずに黙認している2重政策だ」と指摘する声が出ている。

一方、同国の主要宗教、ローマ・カトリック教会最高指導者、シェーンブルン枢機卿は「最高裁判官が婚姻について正常な理解を失ったことに驚かざるを得ない。婚姻は男性と女性の間の自然な結び付けだ。子供も産み、新しい世代を継承していく。裁判官は結局、社会の秩序を破壊することになる」と異例の厳しい批判声明を公表している。

憲法裁判所の今回の決定の直接の契機は、「登録されたパートナーシップ」の2人の女性が同性婚を申請したが、ウィ―ン市と行政裁判所から拒否されたことにある。それを受け、憲法裁判所がその是非の検証に乗り出していた。同時に、「登録されたパートナーシップ」が養子縁組できるなど通常の婚姻の立場と酷似してきたこともあって、「登録されたパートナーシップの法的意味が薄れてきた」という事情があるという。

欧州では2001年、オランダが世界で初めて同性婚を認知。その後、ベルギー、スペイン、ノルウェー、スウェ―デン、ポルトガル、アイスランド、デンマーク、フランス、英国、ルクセンブルク、アイルランド、フィンランド、マルタ、ドイツがこれまで同性婚を認めている。養子権も認めている国は、オランダ、デンマーク、英国、ドイツなど8カ国だ。ちなみに、ロシアやハンガリーなど東欧諸国は同性婚を認めていない

北米では、カナダが2005年、そして米国が2015年、オバマ政権下で連邦最高裁が公認した。それまでは米国50州の中で14州が禁止してきた。南米ではアルゼンチン、ウルグアイ、ブラジル、コロンビアの4カ国、アジアでは台湾が今年5月、認知したばかりだ。イスラエルでは同性愛者の養子権は認めているが同性婚は認めていない。だが、海外で婚姻した場合は許可している。オセアニアではニュージランドが13年に認めた。オーストラリアは今年11月、国民投票を実施し、同性婚認知派が多数を占めたばかりだ。アフリカでは南アフリカだけだ。同国は2006年に既に同性婚を認めている。なお、インドは同性婚を禁止し、イスラム教圏では禁止、ないしは死刑などの刑罰を科している。

同性婚推進派は、「同性婚を認めている欧州諸国は政治的理由に基づいて、同性愛者の婚姻を認知してきたが、オーストリアの場合、同性婚を禁止する法を破棄し、同性婚者の人権を容認する立場からの同性婚を認知した。欧州で初めてのことだ」とその意義を強調する。

なお、オーストリア国民議会は今年6月、同性婚認知について協議したが、国民党と自由党が同性婚に反対して暗礁に乗り上げていた。それに先立ち、ドイツ連邦議会(下院)で6月30日、同性愛者の婚姻を認める法案(全ての人のための婚姻)の採決が実施され、賛成393票、反対226票、棄権4票と賛成多数で可決されている。

キリスト教文化圏に属する欧州で次々と同性婚が認知されていくことに、当方はやはり危機感を感じている。日頃外交的な発言に終始し、はっきりと是非をいわないシェーンブルン枢機卿が今回、同性婚に反対の立場を強くアピールしたことは評価できる。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2017年12月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

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