プラハで欧州の極右党指導者会合

2017年12月24日 11:30

チェコの首都プラハで今月中旬、欧州の極右政党指導者が結集した。欧州議会の政治会派「国家と自由の欧州」(ENL)の会合だ。
ENLに所属する極右政党指導者は現在の欧州連合(EU)が加盟国の主権を蹂躙しているとしてEUの終わりを主張する一方、反難民、反イスラム教をその基本政策としている。

▲議会で演説をするシュトラーヒェ副首相(自由党党首)=2017年12月20日、自由党公式HPから

▲議会で演説をするシュトラーヒェ副首相(自由党党首)=2017年12月20日、自由党公式HPから

同会合のホストはチェコの日系人トミオ・オカムラ氏の極右政党「自由と直接民主主義」(SPD)だ。SPDは10月20、21日の両日に実施された下院選挙で得票率10・6%を獲得し、第4党に躍進した。
同会合にはフランスの欧州議会議員で「国民戦線」のマリーヌ・ル・ペン党首、オランダの反イスラム教を主張する極右政党「自由党」のヘルト・ウィルダース氏らが集まった。

ただし、今年1月、ドイツのコブレンツで開かれたENLに参加した「ドイツのための選択肢」(AfD)は今回欠席した。それだけではない。欧州の極右政党集会といえば、常に顔を出してきたオーストリアの極右政党「自由党」のハインツ・クリスティアン・シュトラーヒェ党首の姿がなかった。同国ではクルツ新政権が発足する直前で、プラハの会合に顔を出す時間がなかったからだ。同党首はクルツ新連立政権で副首相に就任した。

ちなみに、ル・ペン党首は、「オーストリアの自由党の政権入りは欧州にとってグッド・ニュースだ。歴史的な出来事だ」と高く評価し、ウィルダース氏は、「オーストリアの勝利で欧州議会でのENLへの評価が高まる」と歓迎している。

会合では、チェコ、ハンガリー、ポーランドが難民受け入れのためのEU案を拒否していることに対し、オカムラ氏は、「受け入れで、欧州がイスラム教に植民地化されることになる」と指摘し、東欧諸国の難民受け入れ拒否は当然と主張。ウィルダース氏も東欧の立場に理解を示している。

ところで、オーストリアの自由党からシュトラーヒェ党首だけではなく、自由党事務局長でENL副代表、欧州議員のハラルド・ヴィリムスキ氏も日程の都合でプランの会合に参加しなかったことから、クルツ新政権に参加した自由党は2019年の欧州議会選後、ENLから脱退するのではないか、という憶測が流れている。クルツ政権の第1与党「国民党」出身のカラス欧州議会議員は「自由党はENLから脱退すべきだ」と要求している一人だ。

クルツ新首相は政権発足直後、ブリュッセルに飛びジャン=クロード・ユンケル委員長と会合し、オーストリアの新政権が親EUであることを通達している。自由党のプラハ会合欠席も同党が欧州の極右政党の反EU路線に一定の距離を置くことを示した最初の決定ではないかと受け取られている。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2017年12月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

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