日本とアルゼンチン、租税条約締結へ交渉開始

2018年01月24日 06:00

アルゼンチンのマクリ大統領と握手を交わす安倍首相(2016年11月、首相官邸サイトより:編集部)

南米のアルゼンチンはラテンアメリカにおいてブラジル、メキシコに次ぐ経済大国であるにも関わらず、日本にとって貿易取引及び投資という面において遠い国であった。

しかし、2015年12月に自由貿易を掲げてマウリシオ・マクリ大統領が誕生するに及んで、安倍首相が2016年11月に日本の首相として57年振りにブエノスアイレスを訪問し、昨年4月にはマクリ大統領が同国の大統領としては19年振りに訪日を果たした。これを機縁に両国の経済伸展の動きが始動した。

今月10日には租税条約締結交渉の第一ラウンドが東京にて行われた。日本はラテンアメリカにおいて、メキシコ、ブラジル、チリなどとは租税条約を締結しているが、アルゼンチンとはまだ結んでいない。特に、これから日本企業のアルゼンチンへの投資そして進出がより盛んになると二重課税などを回避するために租税条約の締結が必須となる。

アルゼンチンには日本企業は嘗て120社が進出していたが、マクリ大統領が登場する前までに54社に撤退していたのである。在アルゼンチンの福嶌大使が昨年6月に同国紙『ambito』によるインタビューの中で、15年間日本からの投資が途絶えていた、ことを指摘している。

日本からの投資が途絶えた理由は次のような事態が発生していたからである。1999年に任期を終えたカルロス・メネム大統領の政権下で、当初成長期にあったアルゼンチン経済をより発展させようと1ドル=1ペソという交換レートを採用していた。その弊害がその後の景気の後退と伴に如実に現れ、失業率も急上昇するという事態になっていた。彼の跡を継いだ3人の大統領は任期を全う出来ず、その後に登場したのがキルチネールそしてフェルナンデスという夫婦による12年間の政権でアルゼンチン経済は完全に後退した。

特に、フェルナンデス大統領による政権下では、ベネズエラの当時のチャベス大統領の影響を受けて、欧米との関係が希薄になり、中国、ロシア、イランなどとの取引進展を図った。その間もアルゼンチンの経済は不振で、ハイパーインフレ、輸出が後退して外貨は不足、しかも国内の食糧の価格高騰に対し、輸出に税金を掛けて輸出向けの商品を国内販売にシフトさせて国内で供給過剰を誘って価格の上昇を抑えようといった政策まで取るという常識から逸脱した誤った政治判断まで下すようになっていた。それは外国企業にとってアルゼンチンへの投資の魅力を完全に失わせてしまうのであった。それが日本企業にとっても15年間アルゼンチンへの投資を控えさせた理由となったのである。

例えば、日本がアルゼンチンへの投資に完全に魅力を失っていた時期に、メキシコでは日本企業は1000社、ブラジル700社にまで増加していたのであった。

2014年に日本がラテンアメリカへ投資した額は71億ドル(7800億円)であったが、その中でアルゼンチンに投資したのはその僅か6%であったという。

ところが、2015年12月からのマクリ大統領の政権になって事態は一変した。2016年には両国の取引は年間16億1100万ドル(1770億円)であったのが、2017年には1月から11月までで、その前年同期間に比べ7%上昇して15億8000万ドル(1740億円)になった。

そして、昨年は日本企業の投資はアルゼンチンの全ての投資の5%を占めるまでに成長した。因みに、1位はアルゼンチン企業による243のプロジェクトによる投資で230億ドル(2兆5300億円)となり、それは全投資の34%を占めた。それに続く残りの投資額の比率は米国の12%、カナダ8%、スペイン8%、日本5%、ブラジル4%という順位になっている。

アルゼンチンは自然資源が豊富な国である。投資の対象になっているビッグ5は石油と天然ガス、工業製品、金融と不動産、鉱業、ハイテクとイノベーションである。

これから日本の企業は南米での戦略的投資の相手国として政治的そして経済的に不安材料の多いブラジルから、アルゼンチンへの投資に切り換えて行く可能性は十分にある。

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