前川喜平前文部科学事務次官は、2015年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」についても安倍晋三首相の「お友達案件」だったという主張を「週刊朝日」で寺脇研氏らとともに告発していた。
これに対して、登録申請の仕組み作りに関わった民主党の菅直人政権の高木義明元文科相とその秘書官だった鳥居徹夫氏が産経新聞で反論している。
高木氏は産経新聞の取材に安倍首相の人脈の存在を「全く感じなかった」と語る。鳥居氏も「平成24年(2012年)の政権交代で安倍政権にならなくても、民主党政権下で登録申請の流れになっていた」と強調したという。(※西暦は編集部注)
ところが、明治産業遺産には三菱長崎造船所(長崎市)のような稼働中の施設(稼働資産)が含まれていたが、海外では現役の施設が稼働資産と位置づけられ遺産として認められているのに、日本では文化財保護法でネジ一本を動かすのでも許可を必要としており、文化庁は世界遺産登録に難色を示した。
「文科省は絶対に審査は通らないと楽観的で積極的な妨害工作をしなかった」が、文科省の官僚に「発想を変えたほうがいい。世界の価値と日本の価値は違うことがある」と柔軟対応を促していたという。
しかし文科省はその後も妨害を続けた。その背景を、寺脇研氏は、逆の立場からそれを裏付けている。
「産業遺産の中には民間企業で稼働中のものや保存状態に問題があるものもあり、保存について検証する役割の日本イコモスも懸念していたと聞いている。産業遺産には戦時中の徴用工の歴史もあり、国際的に見ても中国や韓国から反発を受けるのは最初からわかっていた」
こうした考え方に裏付けられた前川氏らの文部科学省の意向に基づいて、2013年8月、文化審議会は産業遺産ではなく、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」を世界遺産の推薦候補に決定したが、加藤康子氏や和泉首相補佐官率いるチームは、内閣官房に別個、有識者会議を設け、産業遺産を推薦候補とし、同年9月、菅官房長官の裁定で産業遺産が政府推薦候補に選ばれ、2015年7月には世界遺産登録された。
つまり、文部科学省は韓国などが文句を言いそうな産業遺産を排除し、縦割り行政の論理で教会群を優先させようとしたのが、政治判断で産業遺産が優先されたという事実関係については、争いがないのである。
世界遺産はすぐれて政治的なものである。高句麗遺跡をめぐって中国と北朝鮮が熾烈な争いをしたなども良い例だ。
そうしたなかで、長崎の教会群か明治の産業遺産のどちらを優先するか。文部科学省官僚と“世界遺産マフィア”の意向と、日本国政府としての政治判断と、どちらを優先すべきかは明らかであろう。
それが、岩盤規制と縦割り分野ごとのマフィアたちの擁護者であり、日本の国益より韓国や北朝鮮の国益を優先させる前川氏のような獅子身中の虫にとっては気に入らないし、朝日新聞がそれを支持するのも自然なことだ。
韓国史のことでも告発しているように、文科官僚とそれとつるんだマフィアに日本史の教科書が古代史まで含めて韓国のファンタジー史観に基づいて書かれて、日本国家が歴史的に主張してきた言い分が無視されているのは信じがたいことだ。なんとしても大掃除が必要だ。