【映画評】悪女/AKUJO

2018年02月12日 06:00

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幼い頃に父を殺された少女スクヒは、犯罪組織の殺し屋として育てられ、やがて育ての親ジュンサンに恋し結婚する。だがまもなくジュンサンが対立する組織によって殺される。スクヒはたった一人で復讐を実行するが、その後彼女は国家組織に身柄を拘束されてしまう。10年後の自由と引き換えに国家専属の暗殺者となったスクヒは、顔や名前を変え、ジュンサンの忘れ形見の娘と共に郊外のマンションに住み、第2の人生を送ることになる。そんな時、スクヒが国家の指令で出会った暗殺ターゲットは、あまりにも思いがけない人物だった…。

国家直属の最強の女殺し屋が愛と裏切りに翻弄される運命を描くバイオレンスアクション「悪女/AKUJO」。韓国のアクション映画はその激しさにいつも驚かされるが、本作のインパクトは、とりわけすさまじい。父を殺され裏社会の殺し屋として育ったヒロインは、まず冒頭7分にも及ぶ殺戮を繰り広げる。長回し風のカメラワークで「ハードコア」を思わせる一人称カメラは、なかなかヒロインを映さないじらしと共に、これは尋常な映画ではないという予感を漂わせた。ハイレベルなアクションは、一気に観客を物語に引きずり込んでいく。

物語は、スクヒをめぐって、愛憎や陰謀、意外な黒幕などが暗躍するドラマチックなものだ。ヒロインのキャラクター造形や背景は、「レオン」や「ニキータ」を思わせる点が多数ある。ただリュック・ベッソンをはるかに超えているのは、スタントマン出身のチョン・ビョンギル監督が、徹底的に“魅せるアクション”にこだわっていることだ。主演のキム・オクビンはアクションが未経験だったというが、彼女はテコンドーとハプキドーの黒帯保持者というから、もともと身体能力は高いのだろう。ドレスや下着などの美しく妖艶なコスプレで激しいアクションを披露する様には思わず見惚れた。無論、特濃の流血演出が得意の韓国映画、それだけでは終わらない。やがてスクヒはナイフや日本刀、斧を片手に暴走するバスに飛び移り、狂気の大乱闘を繰り広げる。いやはや、恐れ入った。資料によると、韓国映画界では“女性アクション映画は受けない”と言われているそうだが、どうやらそれは間違いだ。「ワンダーウーマン」「アトミック・ブロンド」、そして本作。女性アクション・ムービーの勢いが世界中で止まらない。
【70点】
(原題「AKNYEO/THE VILLAINESS」)
(韓国/チョン・ビョンギル監督/キム・オクビン、シン・ハギュン、ソンジュン、他)
(流血度:★★★★★)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2018年2月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

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