森友「忖度の泥沼」安倍首相、身を捨てて真摯に謝罪を --- 佐藤 鴻全

2018年03月25日 06:00

首相官邸サイトより:編集部

森友問題の構図

学校法人森友学園への国有地売却に絡む決裁文書の改竄問題で、支持率が急落し安倍政権が危機の中にある。一連の経緯に多少の私見を交えて示すと、森友問題の構図は概ね下記のような事ではないかと思われる。

●特異なキャラとバイタリティーを持つ森友学園理事長の籠池氏夫妻が、小学校新設のために補助金の不正受給に加えて、2015年9月、安倍首相の昭恵夫人を名誉校長に据えて、開校への便宜等に利用しようとした。

●2015年11月、昭恵氏は、森友学園の教育方針に感涙し、経産省から内閣府へ出向し自身の秘書となっていた谷査恵子氏は、籠池氏からの要請を受け定期借地契約等に関し財務省へ問い合わせ行い、昭恵氏へ報告した。

●2016年6月、これらを受け、消費税増税が悲願である財務省全体の空気の中で、理財局・近畿財務局ラインは人事への影響の考慮もあり、安倍官邸に忖度して土地の売却価格を下げて「貸し」を作り、後々の証文のために決裁文書に昭恵氏の名前もわざわざ書込んだ。

●2017年2月、安価な払い下げが世間に知られるところとなり、安倍首相は「私や妻が関係していたという事になれば、首相も国会議員も辞める」と国会で答弁。同3月、佐川理財局長は、安倍官邸に忖度し、「売買契約に関する交渉記録を廃棄した」などと答弁。決裁文書は、昭恵氏の名前等を削除した改竄版を提出。これらにより、官邸に再び「貸し」を作った。

●2017年7月、国の補助金詐欺で、籠池夫妻逮捕。2018年3月、決裁文書の改竄について朝日新聞がスクープ。近畿財務局の担当職員が自殺。佐川局長辞任。

以上のように筆者は、森友問題は、籠池氏夫婦の特異性、昭恵氏の軽率さ、財務省の官邸への忖度等が重なった結果起きた事だと考えている。

財務省はどこまで組織ぐるみだったのか? 官邸はどう絡んでいたのか? を含め、全容は今後、司法と国会で解明されて行かなければならないが、一番の焦点は、安倍首相がこれらの経緯をどこまで知っていたかだ。筆者は、野党と左派系マスコミの「安倍首謀説」に対し、少なくとも土地売却契約の経緯等については、安倍首相はほとんど知らなかったのではないかと考えている。

でなければ、「私や妻がもし関わっていたのであれば、総理も国会議員も辞める」との感情を露わにした強気の答弁は、なかなか出てこないのではないか。昭恵氏のブッ飛び度と天然(ボケ)ぶりはよく知られているが、安倍首相自身も相当な坊ちゃん育ちで世間知らずであり、組織の利害が絡まれば権力者に対して忖度が働くのが当たり前という、普通の感覚が欠落しているようにも見える。

政権の命運

今後の展開であるが、財務省内外で誰が誰に指示していたのかは、証拠と共に明確にならなければならない。しかし忖度については、もともと誰が誰に行っていたのかは証言以外明確な証拠が残らない性質のものだ。また同じ忖度でも、全く勝手に忖度するものから、相手の目をじっと見て「分かってるよね」と忖度させるものまでグラディエーションがあり、忖度の泥沼は根深く、水を全部抜いたとしても隅々までの解明は難しいのではないかと思われる。

政治は、相対的なものであり、身も蓋もない事を言えば、人でも政策でもどちらがよりマシかを選ぶ行為である。現下について具体的に言えば、安倍氏に代わって石破氏や枝野氏や小泉進次郎氏で国が持つかと言う事が問われる。

特に北朝鮮危機が迫り、その後には覇権を掛けた米中冷戦が控える中、リーダーを誰にするかが国の存亡を決めると言っても決して大げさではないだろう。

外交では中韓北に近すぎ、地方創生相のときは政策の具体性に欠けて菅官房長官の「ふるさと納税制度」に喰われる等、内政、経済に弱い石破氏。米国頼りの防衛で十分と考え、経済成長は不要と唱える枝野氏。隠れ増税に過ぎないマンガみたいな「こども保険」を提唱し、政策立案能力・政策センスと天才的なコミュニケーション能力とのギャップが目立つ進次郎氏。

これに対し安倍首相は、オバマ大統領に強制され韓国と結んだ安易な慰安婦同意等はあれど、米、露、インド、東南アジア等と結び中国を牽制し、米朝首脳会談を控える段階になった外交、消費税の8%増税の際には景気を冷やし失敗したものの、基本的に景気への配慮を忘れない経済への姿勢、中途半端さは残るものの同一賃金同一労働等、労働流動化を見据えた雇用政策等、不十分な点や失敗も決して少なくないものの、前述のお坊ちゃん体質を差し引いても、何度も名前を出して申し訳ないが、石破氏や枝野氏や進次郎氏に比してベターであると筆者は考える。

安倍首相は、もし自身が土地の売買契約や文書改竄などについて指示していたり、知っていたりすれば、即刻辞任し国会議員も辞職すべきなのは言うまでもない。しかしそうでなければ、何れか適切な時点で国民に対し、これまでの頑なな姿勢を改め、昭恵氏の軽率な行動、周囲に忖度を発生させた自身の脇の甘さ、土地取引が歪められた事、文書改竄の発生、人命が失われた事等について真摯に反省を表明し、同時に再発防止策として土地取引の適正化、内閣人事局制度の改善、悪しき忖度を防ぐ仕組みの構築、公文書管理の徹底見直し、財務省の解体的組織再編等の方向を打ち出すべきだろう。

これらにより、果たして安倍政権が現下の危機を乗り越えられるかは分からない。しかし、このまま行けば、ジリ貧となり早晩倒れる可能性も高い。首相には身を捨てて死中に活を見出す事を期したい。


佐藤 鴻全  政治外交ウォッチャー、ブロガー、会社員

HP佐藤総研

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