佐川氏65点:安全運転すぎて潔白の印象残せず

2018年03月28日 06:01

衆議院インターネット中継より:編集部

佐川氏の参考人招致だが、ぼろを出さなかったという意味では、ほぼ満点である。野党は証人がぼろを出さない限りは、なんの成果も期待できないこのような証人喚問する意味がなかったのではないか。

一方、与党は守りとしては成功したかもしれないが、積極的に疑惑を払拭するとか、支持率回復の手がかりにするとかいう意味では、成果がなかったともいえる。

佐川氏は、財務局内での書類改竄の経緯について証言を拒否した。権利としてはあるわけだが、郷原氏も論じているとおり、それなら検察で解明して欲しいという勢いを付け、本人の逮捕などの可能性を高めるし、政府にとっても問題にいちおうの区切りをつけることができず、内閣支持率の低下を止めることに役だったとは思えない。

佐川氏の答弁は落ち着いているが、太田局長と違って、一言、感情の吐露や周辺状況を含めた色をつけないので、本当のことをいっているという説得力がない。「そんなことは絶対に」とか形容詞をつけたり、同じ答弁差し控えでも、言い方を少しずつ変えてメリハリをつけたりすれば印象が違うのにダメだ。一流半だ。野球で言えば、いいボールだが打ちごろの棒球のようでもある。

担当局長だったから全責任があるなどというのは、何もいってないのと同じ、太田局長の答弁を少し見習って欲しい。点数つけるなら65点。野党に対する答弁はまあまあだが、与党に対して「控える」の連続はなにやってるのかという印象だ。

個々の質疑では、丸川珠代氏のは存外によかった。与党の立場から罰則付きの場で確認をとっておくのは大事だし、そのためには、簡潔で分かりやすい方がよい。南美希子氏がテレビで、「安倍首相夫人からの指示もありませんでしたね?」などと語尾に「ね?」をつける独特の言い方で佐川氏に質問したことについて、「テレビ朝日時代の後輩ですけど恥ずかしいですね」とかいっていたが、与党の立場からの質問としてはそれでいいので、よく分かってない印象だ。

それに対して、衆議院での石田真敏氏の質問は、細かく要点を押さえているのだが、いったい何が言いたいのか国民にアピールしなかったのではないか。テレビで放送していることを意識してないのでないかというイメージ。

公明党については、参議院の以下のやりとりは、特別の事情について、それが安倍昭恵氏とは関係ないことを明確に引き出してよかった。(※本稿の質疑部分は産経ニュースより引用)

横山氏「政治家や総理夫人の記述というのは、特例承認の決裁文書のこれまでの経緯というところにありますけれども、ここでいうところの特例承認は、何の特例を求めているものなのかご説明いただきたい」

佐川氏「基本的に国有地の売却処分に関しましては、売却が原則でございます。ただ、いろいろな事情がありまして、地方公共団体で一時期貸し付けをしたあと、予算が通ったらそこを公園にするといったことがございます。したがいまして、貸し付ける期間は比較的短くて、その後売るといったようなことが前提となって通達ができあがってございまして、貸し付ける期間は3年と通達に書いてございます」

「ただ、これによらないケースがあるでしょうから、これによらない場合は本省の承認をもって変えることができるのが特例承認通達でございます。籠池(泰典)理事長の森友学園との関係では、8年間貸し付けをしたあとに買いたいということで、3年に合わないと、財務省としてもどうしてもこれを売りたいということで、国有地の処分を積極的に進めたいということで、定期借地契約にしておりまして、定期借地契約というのは法令上、最低10年ということでございますので、3年という通達に合わないと。したがって本性の特例承認が要るということで、特例承認をしたというのが経緯でございます」

横山氏「3年の定期借地権を10年延長するということは、先ほど、今のご説明にもありましたけれども、通達によらないものなので特例承認として本省決裁になったものであります。これは貸し付けから売買に移るための重い判断でありますけれども、いわゆるこれまでの経緯という部分に、政治家からの陳情または総理夫人の記述というのが載っているわけでありますが、こうした情報は本省にとって必要な情報であったと思いますか」

佐川氏「書き換えが行われた決裁文書に関する基準については、ちょっと答弁を差し控えさせていただきますが、一般論としてそういう何か政治的な問い合わせみたいな記述がどこまで必要だったのかという点については、ちょっとその実際に契約そのものは不動産鑑定にかけて法令に基づいてやっているわけでございまして、不動産鑑定士のところに何か操作をするということはできないわけでございますので、そこはちょっと私としてはよくわからないでございます」

横山氏「書き換えられた決裁文書から、私が今比較して読んだ限りにおきましては、今まで言われてきたこと、あるいは、報道されてきたことをばかりでございました。改めて新しい事実が出てきたということではないというふうに思っております。だからこそ、なぜ書き換えが必要だったのかということが疑問に思ってしまうわけですが、確かに承認が理財局長当時の答弁とはですね、不当な働きかけが一切なかったので記録が保存されていないと言い切ってしまっていたので、決裁文書との整合性は取れなかったというのは確かではあります」

それに対して、衆議院では、同党の竹内讓氏のかなり鋭い質問に対して、野党議員にたいするがごとく、すべて訴追の可能性があると証言拒否。与党なんだから、意地悪でなく、印象の良いものいいで答弁すべきだろう。自殺した職員の言及などもう少し暖かい言葉であるべきで残念だ。

竹内氏「残念で冥福をお祈りするという言葉がありましたが、しかし、この方は相当本省との実務的なやりとりをしていた方というふうに言われてますね。本当に申し訳ないの一言ぐらいないんですか」

佐川氏「本省の理財局と、近畿財務局との間でもし仮にちょっと私は本当の事実関係は承知しないからですが、もし仮にそういう連絡、担当の職員であられたということであって、もし仮にそういうことということであれば、それは理財局としてこういう決裁文書の書き換えをしたということにつながるということでありますれば、それは本当に申し訳ないことだというふうに思います」

野党では、参議院の小池晃氏(共産党)や福山哲郎氏(立憲民主党)は、自分の望みの答弁を引き出せず逆上して情緒的捨て台詞。これはダメだ。

小池氏「これでは証人喚問の意味は全くありません。訴追のおそれがあるということ以外のことって全部答えないんですよ。これ以上聞いたって意味ないでしょこれ。私はこの証人喚問で終わりにするわけには絶対いかないと思います。佐川さんだけじゃなくて、安倍昭恵さん含めてですね、野党が要求している証人喚問を全てやる、そのこと以外に解決の道はないということは申し上げて、終わります」

福山氏「勉強の成果とあなた言ったから私はそう申し上げているんです。非常にこの証人喚問が逆に疑惑を深めて、証人は来ていただきましたけども、あなたは火に油を注いだと、そのことを申し上げて、終わりたいと思います。ありがとうございます」

江田憲二氏(無所属の会)が、「官僚答弁は逃げ道をつくっておくべきなのに、佐川氏は断言答弁が多すぎる」といったのは正しい指摘。証言拒否をあまり広くすると認められないケースもあるのでないかと指摘したことは正論。

共産党の宮本岳氏の以下の部分は、切れ味するどく少し追いつけた印象。

佐川氏「大変申し訳ありません。その確認をしたという意味ですけども、理財局に文書の取り扱い規則を確認したということで、そういう答弁をしてしまいました。申し訳ありません」

宮本氏「だめですよ、そんなの。答弁になっていないですよ。そんなの通らないですよ。とめてくださいよ。とめてくださいよ。とめてくださいよ。答弁なっていないじゃないか」

河村健夫委員長「再答弁してください」

佐川氏「本当に申し訳ありませんでした。文書の取り扱い規則の話をしてございました。すいませんでした」

宮本氏「じゃあ、この答弁については虚偽答弁を認めますか」

佐川氏「それを虚偽というふうとあれですけど、私自身はその虚偽という認識は、そのときはございませんでした」

宮本氏「確認をしたっていうのがですね、規定をただ確認しただって通りませんよ、それは。そして、きょうやってる証言は確認をしてなかったから丁寧さに欠けたって言ってるんですよ。これは午前中の答弁が、まさに証言が偽証であるか、昨年の答弁がまさに虚偽答弁であるか、2つに1つですよ。じゃあ、午前中の答弁で撤回してください」

佐川氏「ですから、おわび申し上げますが、昨年の委員に対する答弁がそういう趣旨の答弁だったということでございます」

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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