佐川氏が肝腎なポイントについて答えないことにしてしまったので、国民の間に漠然としたフラストレーションが溜まってしまった、と見ておくべきだろう。
どうせ刑事訴追の対象になるのだろうから、佐川氏は腹を括って決裁済み文書の改竄に至った経緯や理由を述べておけばそれなりに納得してしまっただろうが、今日の証人喚問では真相には至らなかった、というのが大方の国民の感想だとすれば、検察当局が森友事件の捜査を遂げるまで現在のモヤモヤ感が継続することになる。
大阪地検が一応の結論を出すのはいつか、ということがこれからの国民の関心事になる。
ダラダラと捜査を続けることは国民の批判を招くことだから、私の見立てではこの通常国会が終了するまでには何らかの処分がなされるはずだ。
まずは、佐川氏に対しての尋問が始まる。
任意の調べか強制捜査になるかでずいぶん印象が異なるが、通常であれば任意での供述を求めることになる。
検察官に対しての供述を拒んだり、明らかに虚偽の供述をしたりすると、証拠隠滅の恐れがあるということで強制捜査になることも覚悟しておくことだろう。
検察官出身の弁護士が補佐人を務めていた、ということは、佐川氏の弁護団は大体は検察官OBで固めるということだろうと思う。
既に周辺の捜査は固まっているようだから、佐川氏の尋問が始まったら一気呵成に捜査は進展するはずである。
不起訴になる可能性を指摘する元検察官の方もおられるが、国会での証人喚問で刑事訴追の虞があるという理由で証言を拒否した被疑者を不起訴処分にしてしまう検察官がいるということはちょっと信じられない。
検察当局は、世論にはそれなりに敏感である。
検察審査会制度があることを十分に意識しているはずだから、無罪放免も情状酌量の上での不起訴処分も難しいのではないかと思っている。
籠池氏の裁判もそろそろ始まる頃である。
いつまでも籠池氏を拘置所に閉じ込めておくことは出来ない。
森友学園問題がこのまま鎮火することなどあり得ない、というのが私の見立てである。
問題は、大阪地検が捜査を遂げるのはいつか、ということである。
マスコミの関心は、国会から大阪地検の方に移っていくはずである。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2018年3月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。