初めての党首討論を終えて

2018年06月01日 06:00

NHKより

5月30日、初めての党首討論に臨みました。15分と短い時間でしたが、外交、経済など、国家の基本政策について、安倍総理と討論しました。

安倍総理は世界中を周っていますが、その成果はどうなのか。真に国益に資するものになっているのか。特に、トランプ大統領のアメリカに付き従うだけで、日本の主体的な外交姿勢を示すことができていないのではないか。これが、党首討論に臨む私の問題意識でした。

まず、聞いたのが、日米の貿易問題です。

日本車への輸入制限措置

実は今、日米間には、北朝鮮問題に負けず劣らず深刻な事態が生じています。それは、5月24日、トランプ大統領が「安全保障上の脅威になる」として、自動車や自動車部品の輸入に関する調査を命じ、結果によっては、自動車にかける関税を、最大、今の10倍の25%に引き上げる方針を示しました。

実際、こんなことが行われれば、日本経済だけでなく、世界経済にも大打撃です。日々、ものづくり産業の現場が取り組んでいる「生産性向上」の努力が吹き飛んでしまいますし、戦後、アメリカがリーダーとなって作りあげてきた「国際秩序」を根本から壊しかねません。

そこで、安倍総理に対して、なぜ、重要な同盟国である日本の自動車輸出がアメリカにとって「安全保障上の脅威」になるのか、そして、トランプ政権が、こうした方針を取ることについて、事前に連絡を受けていたのか。なければ、同盟国とみなされていないことになると指摘しました。

これに対して、総理は明確な答弁を避けました。ただ、日本車に対して25%もの関税をかける措置については、「理解しがたい」との表明がありました。

理不尽な措置には対抗措置を講じるべき

さらに私から、「事態の推移を見守る」といった悠長な姿勢では不十分であると疑問をぶつけました。実際、鉄鋼とアルミについては、すでに輸入制限措置が発動されており、これに対して、中国は、セーフガード協定上の対抗措置を取り、加えて、WTOの紛争解決手続きに基づく協議も提案しているのです。

その結果、まるで中国が、横暴なアメリカに対して、自由貿易を守る盟主のように見えています。本来、トランプ大統領の不条理で不公正な措置に対して対抗措置を講じ、世界の自由貿易を守る意思を示す役割は、日本であるべきではなかったのかと総理に迫りました。

しかし、この問いに対しても、安倍総理からは曖昧な答弁しかなく、毅然たる日本の外交姿勢や哲学を感じることはできませんでした。

トランプ大統領のやっていることは安保条約違反では

そして、日米貿易問題について最後に指摘したのは、今回のトランプ大統領の措置が、日米安保条約に違反するとの問題意識です。

実は、安保条約2条には「自由な諸制度を強化し、経済的協力を促進する」と明記されています。貿易拡大法232条に基づく輸入制限を日本に課すことは、この安保条約2条に違反する可能性があります。

いわば、貿易においては、アメリカは、日本を「同盟国」でなく「脅威」とみなしているのです。これは極めて深刻な事態であって、「アメリカと100%共にある」などといった認識は、幻想に過ぎないかもしれないのです。

日露交渉、最大の課題は返還後の島に米軍施設を置くのかどうか

最後に、日露交渉についても討論しました。というのも、先の日露首脳会談でも、経済活動ばかりが前面に出ていて、四島返還への道筋が見えないからです。

実は、領土問題解決の最大の課題も、日米安保条約にあります。

プーチン大統領の最大の懸念は、島を日本に返したときに、そこに安保条約6条に基づく米軍施設が設置されることです。そこで、私から安倍総理に対して、トランプ大統領を説得して、島が返還された後に、安保条に基づく米軍施設を設置しないと確約を求めてはどうかと提案しました。

これができるのは、トランプ大統領と親しい安倍総理にしかいないと、激励のつもりで質問しましたが、この問いに対しても、安倍総理は、外交の中身を答えられないと答弁を避けました。ただ、プーチン大統領との1対1(テタテ)の会談のほとんどは、平和条約についての議論だとの答弁がありました。

経済協力の先食いを許すな

とにかく、返還後の島に、軍事施設を置くのか、置かないのか、ロシア側の最大の関心がそこにある以上、この本質的な問題を曖昧にしたまま、いくら経済的利益をロシアに与えても、四島の返還が実現することはありません。安倍総理に対して、いたずらに経済的利益を先行して与えるべきではないと申し上げておきました。

日本は主体的外交を展開せよ

そして、討論の最後に、トランプ大統領とゴルフをするような良好な関係はいいが、日米の国益は必ずしも100%一致するわけではない。よって、言うべきことは言う、行動すべきことは行動しなければ、日本の国益にかなう外交にはならないと改めて強調。

特に、6月12日に開かれる予定の米朝首脳会談において、仮に、アメリカにとって都合の良い合意ができても、それが日本にとって都合の良い内容とは限りません。だからこそ、ミサイル、非核化、拉致問題の解決にあたっては、アメリカに頼るだけではなく、主体的な日本外交の姿勢を示すべきと指摘しました。

国会改革を超党派で進めていきたい

なお、討論の冒頭、国会改革についても提案しましたが、小泉進次郎さんも、「勇気づけられた」とコメントしていただいたようなので、与野党で話し合いを進め、熟議を通じて問題を解決できる国会にしていきたいと思います。

特に、党首討論については、毎週夜8時に開催することを提案しています。若い人やサラリーマンがリアルタイムで視聴できる時間に実施したらいいと思います。国会改革の第一歩として、実現したいものです。

次回の党首討論では、社会保障制度や財政再建について討論したいと思います。


編集部より:この記事は、国民民主党共同代表、衆議院議員・玉木雄一郎氏(香川2区)の公式ブログ 2018年6月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はたまき雄一郎ブログをご覧ください。

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玉木 雄一郎
衆議院議員(香川2区、国民民主党共同代表)

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