【GEPR】「ガイア」を守るエネルギーは何か

2018年06月27日 13:30

地球温暖化の問題には、科学的に不確実な要因が多い。「ガイア仮説」を提唱し、かつては地球温暖化の脅威を強く主張していたジム・ラブロックは、最近この点について考えを変えたという。

「地球温暖化の原因は人間の排出するCO2である」という因果関係が成り立つには、少なくとも次の事実を証明する必要がある。

1.地球の平均気温が上がっている
2.大気中のCO2濃度が上がっている
3.CO2増加の原因は人間活動である

このうち1は、ほぼ間違いない。図1のように19世紀末から一貫して気温は上がっており、2016年には史上最高を記録した。地球の長い歴史の中では循環的な変動である可能性もあるが、少なくとも一部の人がいうように「寒冷化」する兆候はない。

図1
では2はどうだろうか。ハワイのマウナロアで観測されたCO2濃度(NASA)のグラフは、図2のように(季節変動をならすと)50年以上きれいな直線を描いている。

図2
ここで疑問なのは、この直線があまりにもきれいで、人間活動の影響を受けているように見えないことだ。最近50年で人間由来のCO2濃度は4倍になり、特にここ20年は途上国で急増したが、地球全体のCO2濃度には、まったく影響していない。これを累積データでみると、図3のようになる。

図3

これは図2と同じカリフォルニア大学スクリプス研究所のデータだが、1960年ごろ化石燃料によるCO2排出濃度が地球全体を超えている。これはスクリプス研究所にの説明によると「人間の排出したCO2の57%が大気に貯まる」ということらしいが、では1960年以前はどうなのだろうか。

ラブロックは「CO2は重要だが、ガイアの調整能力は大きいので、それほど心配はない」という。地球(特に海と森林)は人間の排出した炭素を吸収して生態系の平衡を保っているので、CO2の排出量ほど急激に濃度が上がらない。

大事なのは「人間が地球を守る」という傲慢な考えを捨て、ガイアの調整機能を守ることだ。この点で生態系を攪乱する再生可能エネルギーは好ましくない。森林を破壊する太陽光も風力も、ガイアを破壊して調整能力を減殺するものだ。彼が「もっとも環境にやさしいエネルギー」として推奨するのは原子力である。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 SBI大学院大学客員教授 学術博士(慶應義塾大学)

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