「半分、青い」にストーリーの黄金律をあてはめると?

荘司 雅彦

NHK番組公式サイトより:編集部

ストーリーには、神話の時代からの「黄金律」があると説いたのは、ドン・キャンベルらだ。
多くの著名な映画や小説は、この「黄金律」に則って作られているという。

ストーリーの黄金律については、私のHimarayaの無料音声配信「コミュニケーション講座」の7月2日配信分で具体例を2つ挙げて説明した。

ストーリーの黄金律は拙著「説得の戦略」P241以後に書いたが、次のような流れだ。

  1. 日常(主人公は日常で生活しながらもどこか不満を感じている)
  2. 分離(ある出来事が起こって主人公が日常から分離される)
  3. 敗北(最初の敗北を喫する)
  4. 試練(訓練などによって欠点を克服した主人公が敵に挑む)
  5. 勝利(試練を経て勝利を手にする)
  6. 帰還(成長した主人公が日常に戻る)

「コミュニケーション講座」では、2の分離の際に主人公のメンターが現れると説明した。
「スターウォーズ・エピソード4」と、NHK朝ドラの「あまちゃん」を例に挙げ、前者ではオビワン、後者では北三陸の祖母がメンターの役割であると解説した。

さて、現在進行中のNHKの朝ドラ「半分、青い」は、このストーリーの黄金律にあてはめることができるだろうか?

1の日常は、主人公の鈴愛(すずめ)が岐阜県美濃地方の「ふくろう町」で生活している時だ。
長編ドラマなので幼少期からスタートしているが、高校3年生になってクラスメートたちが都会に出ていくのを傍目で見ながら(不満を感じながら)鈴愛は日々を暮らしている。

2の分離は、地元の農協への就職を断って東京の秋風先生のところへ行くことだ。ここで、メンターである秋風先生が登場する。
きっかけとなる「出来事」は、おわかりのように秋風先生との出会いだ。

3の敗北は、切り口によって異なってくる。
鈴愛(すずめ)の漫画家人生で切ると、秋風先生のネームを間違って捨ててしまいクビになることを挙げることができる。
一人の女性の人生で切ると、幼馴染の律との別れが「最初の敗北」に当たるかもしれない。

4の試練は、現在進行中だ。
あてにしていた(?)律が結婚し、漫画の連載も打ち切られる。
私生活でも仕事でも大きな試練が鈴愛に襲いかかっている。

5の勝利は、どのような形であれ必ずあるはずだ。それがなければ朝ドラじゃない(笑)

6の帰還は、個人的には律と結婚して「ふくろう町」に戻ることを期待している(その前提として律は離婚か死別をしなければならないが…)。

今後の展開は脚本家次第だが、概ねストーリーの黄金律があてはまるということがご理解いただけただろう。

「試練」がどこまで続くか?
(個人的には今の試練はそろそろ終わりで、新たな試練がやってくると考える。次は私生活の試練かも…)

どのような「勝利」がやってくるか?
どのような形で「帰還」となるのか?

ストーリーの黄金律を想定しながら、興味深く観ている。

説得の戦略 交渉心理学入門 (ディスカヴァー携書)
荘司 雅彦
ディスカヴァー・トゥエンティワン
2017-06-22

編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2018年7月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。