「クレイジー・リッチ!」は現実世界でも?アジア系の可処分所得は大幅増

2018年09月07日 06:00

ハリウッド映画「クレイジー・リッチ!(原題:Crazy Rich Asians)」が8月15 日から全米で公開され、8月26日までの週に2週連続で週末興行収入1位に輝きました。1993年の映画「ジョイ・ラック・クラブ」以来、初めて主要キャストがアジア系で占められるという作品なだけに、日本でも話題になりましたよね。2017年に公開された映画のうち、台詞のある役の70.7%が白人で、アジア人はわずか4.8%だといいますから、いかに意欲作かが伺えるというものです。

本作品の予算はわずか3,000万ドルで、公開初日から5日間の北米興行収入予想は1,800万~2,000万ドル程度しか見込まれていませんでした。ところが、蓋を開けてみれば初日だけで2,650万ドルを稼ぎ出す快挙を成し遂げます。その後も順調に客足を伸ばし、北米での興行収入は8月29日までに8,360万ドル、全世界では9,090万ドルを記録。まさにモンスター・ヒットと呼ぶにふさわしく、1億ドル突破も夢ではありません。

観客動員数の増加は、主人公の女性とその恋人が働くNY市をはじめ、西海岸などの都市部で火が点きました。アジア系の人口比率が高いためで、例えばNY市は2017年の推計値で13.7%、カリフォルニア州サンフランシスコに至っては33.9%と、全米の5.8%を大きく上回ります。なお、米国勢調査局による2017年の推計値でアジア系の人口比率が最も高い州はハワイ州で37.3%、次いでカリフォルニア州が14.7%、3位がニュージャージー州で9.7%、4位にNY州で8.8%、5位にネバダ州で8.5%でした。

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(作成:My Big Apple NY)

映画館に足を運ぶのは、アジア系だけではありません。映画製作会社ワーナー・ブラザーズの配給責任者がLAタイムズ紙に明かしたところ、封切直後に44%を占めたアジア人の観客は翌週に27%へ低下しました。白人系をはじめ黒人系、ヒスパニック系など、非アジア系も映画館が押し寄せたためです。各メディアは人気の証として、公開2週目の興行収入が前週比6.9%減と、祝日を含まない2,000館以上の公開作品で過去7番目に低い落ち込みにとどまったことを挙げていました。

映画のタイトル通り大富豪のアジア系が登場する本作品ですが、現実世界でもアジア系の所得は米国でうなぎのぼりです。ジョージア大学の調査結果によれば、アジア系の可処分所得は2000年から2017年に256%増の9,860億ドルと、非白人で最も力強い伸びを遂げました。全米の97%増を上回り、白人の87%増を大きく突き放しています。こうした兆候を反映してか、NY市内をはじめ米国の広告はアジア系を大きくフィーチャーする傾向が顕著となっています。

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(作成:My Big Apple NY)

人種差別がはびこる1968年に公開された映画は、白人女性が家族との晩餐に黒人男性を婚約者として連れてくるストーリーが話題になりました。タイトルは「招かれざる客」でしたが、翻って2018年、米国で購買力が期待されるアジア系は、米小売業にとって「招きたくなる客」と言えるでしょう。

(カバー写真:Crazy Rich Asians


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2018年9月6日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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