読みやすい書面を書く3つのコツ

2018年10月24日 06:00

「読みやすい準備書面の書き方を教えて欲しい」
Himalayaの音声配信で、弁護士1年目の人から相談を受けた。

「準備書面」というのは、民事訴訟で当方の主張を述べる書面のことなので、一般的に言えば「読みやすい書面の書き方」と言い換えることができる。

書面が読みやすいか否かは、読む相手が誰であるかによって異なる。
相手が小学生である場合と、学術論文のように読み手がプロである場合とでは、自ずと書き方が異なってくる。

「準備書面」を読む相手は裁判官だ。
民事部の裁判官は、膨大な書類と日々格闘しているので、ストレスなく読むことができ、内容をしっかり把握できるようにする工夫が必要だ。

びっしり文字で埋まっている書面は読みにくいので、頻繁に改行して白い部分を残しておくことを最初にアドバイスした。
一般人でも、ページがびっしり文字で埋まっている書籍を読むのは辛い。

次に、理由を主張でサンドイッチする方法を説明した。
例えば、「被告(相手方)は、○○と主張しているが、以下の理由から当該主張は不自然である」と書く。
その後に、箇条書きで理由を述べる。

理由の数は、3個程度が望ましい。
たくさんの理由を挙げてしまうと、大して説得力のないものが含まれ、主張の威力が削がれる恐れがあるからだ。

理由を箇条書きにしたら、「以上の理由から、被告(相手方)の主張は明らかに根拠を欠くものである」というふうに、もう一度主張を述べる。

最初の主張は、読む側に「注意喚起」するためだ。
「今から、理由を書きますよ、しっかり読んで下さいね」という意味合いだ。
最後の主張は「ダメ押し」だ。
理由を読んだ後、読んだ人間の心は揺れているので、一気に「ダメ押し」をする訳だ。

最後に、一つの文章を長々と書かないことをアドバイスした。
時として、プロの物書きの中にも、ドストエフスキーの小説の台詞のように長々とした文章を書く人がいる。

文学作品ならぬ実務書面では、「一つの文章で一つの意味」にするのが原則だ。
時として、「確かに…しかし…」パターンのように、一つの文章中に二つの意味合いが含まれることもあるが、これも極力簡潔にする。

以上のような文書の作成方法は、ビジネス文書でも十分応用可能だ。
自慢話のようで恐縮だが、アドバイスの説得力を示す意味で、複数の裁判官から「荘司さんの準備書面はいつも分かりやすくて助かります」と言われた事実を挙げておく。


編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2018年10月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。

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