維新の命運をも握る「大阪万博」招致の成否

2018年11月22日 06:00

政府と大阪府・市が誘致してきた2025年万博の開催地を決める博覧会国際事務局(BIE)総会の開催が、あす23日に迫った。その成否は来年にかけての政局を占う意味でも影響は小さくない。

松井・大阪知事(編集部撮影)吉村・大阪市長(大阪市サイト)招致活動ログ(文科省サイト)=編集部

招致計画では、大阪万博は2025年5月3日から11月3日までの185日間の開催。実現すれば、2020年東京オリンピック・パラリンピックの次の国家的なビッグイベントとなる。安倍政権は遅くても2021年9月までには退陣するだろうが、招致が実現するかどうかの成否は、自民党以上に開催地で8年半「与党」であり続けてきた維新の会の方が切実な意味を持っている。

維新は、旧来型の国政政党のように、業界団体や労組、宗教団体といった支持母体があるわけではない。その代わり、大阪都構想に代表される大型の政治的アジェンダを掲げることで求心力を生み出し、そこまでに至る間、行財政改革の各種取り組みをアピール。創設者の橋下徹氏がいた頃はその人気も含めて「政党離れ」の有権者の支持を得てきた。

2015年5月、大阪都構想に関する大阪市の住民投票が僅差で敗れ、橋下氏が引退したことで維新の先行きが微妙になりかけたが、その後も大阪では世論調査の政党別支持率でトップの根強い支持をなんとか保ち続けてきた。維新としてはリベンジで計画を変更した都構想の是非について、来年中の2度目の住民投票実施を目論んでいるが、党勢を維持する上では重要なポイントだ。

しかし2度目の住民投票実施は、公明党の理解が得られておらず、来春の統一選との同日実施が見送られるなど目処が立っていない。維新は府議会で第1党ではあるが、単独過半数には届いておらず、前回の住民投票も公明の協力で実施できた経緯がある。

一方、「大阪都構想」以外に「大阪万博」が実現すれば、大阪府政、大阪市政で与党である維新としては政治的求心力を保つ上で、もう一つの大きなアジェンダを手にすることができる。1970年の大阪万博は、東京のオールド世代にとっての1964年東京五輪と同じく、大阪人のシニアにとっては高度成長期の成功体験の象徴であり、プライドをくすぐる心理的効果は一程度ある。70年万博を知らない世代にとっても、経済効果の試算額は、国の1.9兆円〜府の2.3兆円などがはじき出されており、景気対策としてもわかりやすいアピールにはなる。

国政で安倍政権が好調な経済をベースに長期政権を築いたように、経済は政治基盤の安定化に資する点は大きい。

しかし、現地から聞こえてくる万博誘致合戦の情勢は全く予断を許さない。ライバルのロシア・エカテリンブルク、アゼルバイジャン・バクーは「初めての開催」を猛アピール。ライバル陣営がBIEの加盟各国に対し、分担金の肩代わりという「実弾」が飛び交う噂も出ているようだ(出典:産経新聞)。

不幸にして仮に招致に失敗してしまうと、大阪の人にとってはかつての2008年五輪招致失敗に続くトラウマになりかねない。そして、それは政治的・社会的イベントを企画して政治的求心力を生み出してきた維新にとっても手痛い打撃だ。

そして、来年春の統一地方選では府議選、大阪市議選で足場を守れるか問われる。しかも維新にとっては2010年の結党以来、3度目となる統一地方選は初めて「橋下抜き」で戦う。東京の人が思っているよりは、選挙地盤を大阪府内の地域に根付かせている所属議員も多いので、万博失敗は致命傷にはならなくても、大阪都構想の「一本足打法」で臨むとなると、心もとないのは間違いない。

ただ、奇襲戦法により、これを乗り切ろうとするシナリオもあるようだ。先日、永田町で興味深い話が取りざたされているのを聞いたが、万博招致の結果が出る前に、シミュレーションを重ねても詮無いことでもあるので、結果が出てから改めて書こう。(その前に夕刊フジとか日刊ゲンダイあたりが書いちゃったらごめんなさい…笑)

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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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