事実上の「空母」へ いずもを巡るウラ事情

2018年12月01日 06:00

政府が事実上の空母導入を検討 護衛艦「いずも」を改修(朝日新聞デジタル)

政府が年末に改定する防衛計画の大綱(防衛大綱)に、事実上の「空母」の導入を盛り込む方向で検討していることがわかった。海上自衛隊の護衛艦「いずも」の改修が念頭にある。岩屋毅防衛相は27日午前の閣議後の記者会見で、いずもについて「できるだけ多用途に使っていけることが望ましい」と述べた。

防衛省は基地が少ない太平洋地域の島嶼(とうしょ)防衛を理由に、基地が破壊された際の代替滑走路としての運用を想定する。いずもを事実上の「空母」とし、垂直着艦できる米国製の戦闘機F35Bを運用する方針。岩屋氏は会見で、F35Bについて「短い滑走路で離陸をすることができる性能をもった航空機」と説明した。

いずも(海自サイトより:編集部)

以前からいずも級は就役後30年以上の運用を想定して開発され、途中で運用の変化に耐えられる冗長性を持たされた。その中にはF-35Bの運用も想定されていました。これは米軍との共同作戦で米軍のF-35Bの運用も考えてのことだと聞いております。

そしてコンセプトは「守るフネから守られるフネへ」でした。
つまり護衛艦=駆逐艦ではなく、駆逐艦によっても守られる「ヘリ空母」なフネということです。

そして当初はディーゼルあるいは統合電気推進も検討され、艦種ソナーは装備されない予定でした。

対艦ミサイルもなく、火砲もなく、火力は近接防御だけ。これが駆逐艦であるわけもないわけです。

護衛艦と称しているのは政治、行政的な理由からです。

まあ自称事情通の軍オタさんたちは防衛省の公式見解を鵜呑みして「アレは護衛艦=駆逐艦であって、空母でもヘリ空母でもないんだ!」と口泡飛ばしていた人たち、なんか黙っちゃいましたよね。自分の不明を認めた人を見たことがないのですが、いるんでしょうかね?

しかも一応プロの範疇には一応お金もらって文章書いているJSF君(#JSF(本人確認は外部サイトのリンク参照)@rockfish31 ‏)やDragoner君(#dragoner@月曜西ち10b@dragoner_JP ‏)もおりますが。

いずも級は米国の4万トンクラスの揚陸艦とほぼ同じ容積があり、最大F-35B2個飛行隊を収容できる前提で設計されたました。無論その場合、飛行甲板にも係留することになる、スキージャンプも設置も無理でしょう。実質運用は1個飛行隊とヘリが数機でしょう。

仮にいずも級でF-35Bが運用されるにしても、試験的な意味合いが強いのではないでしょうか。空母保有は理屈ではなく海自の永年の悲願であったわけですが、空母の運用実績もない。そこでいきなり軽空母とはいえ空母を運用するには無理があります。

またいわゆる「空母」つまり完全に自己完結した「浮かぶ航空基地」になるかどうかもわかりません。 F-35Bの部隊は主として地上で運用して、それらの燃料弾薬の補給や簡単な整備程度を行う、「前線基地」程度の運用かもしれません。また新たに建造される揚陸艦にある程度の運用能力をもたせることになるとか、新たに空母前提のいずも改的な空母を作るかもしれません。

いずれにしてもいずも級を1隻空母的に運用してみた結果。今後の方針がきまるのでしょう。

ただぼくは単に空母として使うのではなく、地上基地との連携を考えた運用が主体になるのではないかと思っています。また「空母」部隊の編制も考慮する必要があります。

早期警戒機をどうするのか。これは空母じゃなくても必要です。UH-Xは空母化の話もあって混迷しているようです。一説にはオスプレイも候補に上がっているようです。であればいっその事、陸自用のオスプレイを転用すればいいでしょう。陸自もオスプレイを厄介払いできます。オスプレイの運用費がヘリ部隊を圧迫することもなくなります。

海自がオスプレイを使うのであれば、早期警戒機にも使えます。ロッキード・マーティンが英海軍向けに提案したシステムなら搭載が可能でしょう。そしてヘリよりも長時間の滞空が可能です。

また海自がUH-Xで使うべき費用を陸自のAH-X調達に使うならば税金の有用な使い道になるでしょう。また海自に転用したオスプレイの数機を特殊部隊運用用のCV-22仕様に変更するのも手でしょう。

あるいはガーディアンのような無人機を使用するのも手でしょう滞空時間は24時間近くもあります。であればヘリ部隊の負担を大きく低減できるでしょう。

例えばメーカーと共同でガーディアンの艦上型を開発して、早期警戒、対戦、会場監視型などのパッケージとともに第三国に売るという手もあるでしょう。今はいわゆる多目的空母を運用する国は増えてもおります。世界中に相応の市場があるかと思います。

■本日の市ヶ谷の噂■
陸自のAH-Xでは輸送ヘリのエスコートのための速度と航続力は要求されるも、レーダーの装備は要求されないとの噂。


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2018年11月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。

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清谷 信一
軍事ジャーナリスト、作家

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