小池知事、方針転換。築地市場跡地、一転して売却(有償所管換え)の方向へ

音喜多 駿

こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

●築地跡地、一般会計に売却 都検討 知事、方針転換へ 豊洲経費などの赤字補填(産経新聞)
●売却?貸付? 築地市場の土地、1月下旬に判断へ(MXニュース)

28日に「市場移転に関する関係局長会議」が行われ、築地市場跡地については「売却」を選択肢に入れた試算が行われることが明らかになりました。

小池知事はこうした試算を元に1月にも売却か長期貸付かの方針を決定するとのことですが、このタイミングでしかるべき会議体に新たな方針を俎上に載せるということは、ほぼ売却の方向に行政方針は決まっていると考えて良いと思います。

私は昨年10月に市場移転の方針について、両立案を支持したことをブログにて謝罪。12月には都議会本会議の一般質問でもその旨を表明し、築地再開発は撤回≒売却をするべきと指摘しました。

また今年3月の予算特別委員会では、長期貸付による築地再開発の財政スキームは明らかに破綻していることを指摘し、重ねて早期の売却決断を求めてきました。

過去記事:
築地再開発で「賃料160億円」スキームは破綻。速やかに売却(有償所管換え)に切り替える他ない

https://otokitashun.com/blog/daily/17489/

私自身もこの市場移転については選択を過った身。遅きに逸したとはいえ、小池知事・東京都が売却という決断に転換しつつあることは、改善・前進であると思います。

しかしながら、有識者会議等を名目に決断を先送りにしてきたこの1年間で失ったものは、あまりにも大きいことも事実です。

一例をあげれば、1年前に売却の方針を固めていれば、千客万来施設はすでに着工段階に入り、宿泊施設部分は2020東京大会に間に合った可能性が十分にありました。

初夏まで知事が「謝罪」も拒んだことで、その完成は2023年。その間には都の出費で暫定事業の実施が必要となるなど、都にとっての損失が発生したことは明らかです。

また、売却にしてもまちづくりの方針自体は必要になることから、築地再開発を検討した有識者会議のすべてが無駄になったとは申しませんが、売却が前提であればまた違った議論・結論になったことは疑いなく、極めて非効率な会議に有識者や都庁職員が時間を費やしたことになります。

実際のところ、知事与党である都議会公明党が有償所管替え≒売却を迫っていることからも、小池知事は「この結論(売却)しかない」ことはお気づきになっていたと思います。

それをこのタイミングまで先延ばしにしたのは、一重に移転前後で注目度の高い時期に責任論が噴出するのは回避するためだったのだろうと考えざるを得ません。

「状況が変わった」

という知事コメントもありましたが、もちろん経済状況も含めて状況は刻一刻と変わっていきます。それでも50年間という長期貸付が可能だと考えたからこそ、知事公約として「築地・豊洲両立案」が出てきたはずです。

今回の方針転換は、まごうことなき公約撤回となります。

これまで様々な理由をつけてこの事実と向き合ってこなかった小池知事でありますが、来年の予算編成に向けて、都議会に対しても都民に対しても誠実な説明責任を果たされることを望むものです。

私自身も、この市場移転問題については改めて自省するとともに、売却後のスキーム等についてより良い提案が出せるよう、引き続き努力を重ねてきます。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は、あたらしい党代表、東京都議会議員、音喜多駿氏(北区選出)のブログ2018年11月29日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。