「未婚のひとり親」への不公平も温存。地方分権を殺した税制「改悪」大綱

こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

昨日決定された与党税制大綱によって、これまで都知事や大都市選出国会議員が反対を続けてきた偏在是正措置が確定し、東京都からは1兆円近くの財源が流出することになりました。

小池知事はこの税制「改悪」に対して「地方分権は死んだ」という強い言葉を使って批判されていますが、この意見には私も賛成です。

このような理不尽な偏在是正措置では、「奪われる側」は創意工夫をして税収を伸ばす意欲を失い、「与えられる側」は依存心を強めていく一方でしょう。

今までのように中央政府が地方に紐付き財源をバラまいていくやり方を改めない限り、地方の衰退と日本全体の低迷は止まりません。

今回の決定は極めて遺憾であり、東京都のみならず日本の将来に禍根を残すことを強く懸念するものです。

また他にも決定された税制大綱の内容を見ますと、看過できない点があります。

公明党が是正を主張して綱引きが続いていた「寡婦(寡夫)控除の未婚者への拡大」については、抜本的な改正が見送られることになりました。

「寡婦(夫)控除」未婚者への拡大見送り 子育て、どうして「婚姻歴によって差」

我が国では「寡婦控除」により、法律婚をした後に配偶者と離婚または離婚したひとり親は、所得税と住民税の負担を軽減すされ、住民税が非課税になる所得の要件も緩和されます。

しかしながらこれらは、いずれも婚姻歴のないひとり親は対象に入っておりません。

写真AC:編集部

ひとり親として子どもを育てている状態はまったく変わらないのに、法律婚の有無によって税制が異なるというのは、明確な差別であり不公平です。

公明党は「同じひとり親世帯で税負担に格差が生じるのは不公平だ」として寡婦控除の適用拡大を主張したが、自民党税調の重鎮議員らは「未婚のまま子どもを産むことを助長しかねない」などと反発。抜本改正には至らなかった。ひとり親の支援団体NPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の赤石千衣子理事長は「『伝統的な家庭が壊れる』といった旧来のイメージを払拭(ふっしょく)できなかった」と悔しがる。
(上記記事より抜粋、強調筆者)

まさに自民党重鎮議員とやらの意見が、日本における多様性社会への障壁を端的に表しています。

このような税制の有無だけで結婚・出産の意思が変わる可能性は極めて低く、むしろ現実に存在するひとり親家庭への差別を助長することに、どうして彼らは気づかないのでしょうか。

こうした旧態依然とした自民党に強烈に「No!」を突きつけるのは、本来は公明党ではなくリベラルな立場にある野党の役割のはずですが、その存在感が非常に希薄な現在の国政状況は残念でなりません。

来年には統一地方選・参院選があります。私はやはり、旧態依然とした中央集権・封建社会を信奉する自民党が一強状態にあることに強い懸念を覚えます。

地方議員の立場ではありますが、自立した分散型社会、様々な生き方が認められる多様性社会を目指して、強く政策提言と政治活動を続けていきます。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は、あたらしい党代表、東京都議会議員、音喜多駿氏(北区選出)のブログ2018年12月14日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。