職権乱用による公私混同や利益追求への社会的制裁に時効はない

2018年12月23日 06:00

私のブログの読者の中にはフランス在住の方がおられるようで、ゴーン氏に関わる日本の検察当局の動きについてフランスのメディアが相当批判的だという情報を寄せてくださったいる。

おう、私のブログも少しはグローバル化したのか、と思っているのだが、世界の注視の中で日産なりゴーン氏の刑事事件が取り上げられている、という意識を私たちも持っていた方がよさそうだ。

日産サイトより:編集部

元検察官の方やいわゆる識者と認められている方々が日本の刑事司法や日本の検察当局の動きについて妙に批判的な論陣を張っておられ、世論もこれらの言説に左右されて如何にも日本国内からも検察当局に対する批判が噴出しているかのような空気が醸成されつつあったが、どうやら事態は急展開したようである。

相変わらず、検察釣局の暴走だ、検察が追い詰められている、などという論陣を張られる方もおられるが、一般の方々は結構冷静に今の事態を見ておられるようだ。

検察当局によって特別背任だと擬せられているデリバティブ取引による損失を会社に付け替えたという行為について、時効じゃないか、最終的に損害が発生していないのであれば逮捕するまでの重大な事件ではないのではないか、などと言った、あたかもゴーン氏の一連の所業を正当化したり擁護しようとしているかのような見解を出される向きがあるが、私にはどうも筋違いのように思えてならない。

日産の帝王として独裁的な権限を行使していたゴーン氏が自分に与えられた権限を乱用し、通常では認められないような公私混同を恣にしていた、ということであれば、まず普通の感覚であれば経営者としてあるまじきことだ、ということになるはずだ。

検察当局が特別背任で逮捕した、という事実は重い。

日産の関係者からは、いよいよ本丸に来た、何で検察当局は特別背任等の件を取り上げないのだろうかと思っていた、などという感想が漏れ伝わってきている、という事実からは、少なくとも日産の内部ではかねてから問題だと思っていた人がそれなりにいた、ということだろう。

これまでは、金融商品取引法による有価証券報告書の虚偽記載という、どちらかというと一般の国民にはその違法性についての認識が薄い事件についての報道ばかり先行していたため、世論へのアピール力が弱かった面があるが、特別背任ということになると様相が一変する。

外国のメディアがどう報道するのか分からないが、特別背任という分かりやすい犯罪だということになると、ルノーの株主の反応も自ずから変わるはずである。

特別背任罪に対して時効があることは、間違いない。

しかし、特別背任に該当する行為をした役員についての道義的責任を問う声や社会的制裁については、短期で消滅するような時効は基本的にはない、と考えておくべきだろう。

もっとも、70年以上も前の徴用工の使役についてまで一切時効の適用を認めない、というのは些か行き過ぎだと思うが…。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2018年12月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。

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