防衛装備庁の開発費の使い方はリーズナブルか?

2019年03月06日 06:00

先週の「朝雲」でジェイテクト社の作業用パワードスーツ、「J-PAS」が紹介されていました。これは最大16キロの荷重を軽減できるものでその場合約半分に重さを感じるそうです。新型の「J-PAS LUMBUS」は重量を抑えて防水性を持たせて雨や雪でも使えるそうです。

既になんども主張していますが、装備庁が戦闘用パワードスーツを開発しても結局金を使うだけで配備されません。陸自にそんな予算もありません。むしろこういう民間型を自衛隊で買い上げて(あるいはリースして)、兵站や災害派遣で使うほうがいいでしょう。そうすれば省力化、隊員の高齢化対策にもなります。

装備庁で研究中の高機動パワードスーツのイメージ(防衛装備庁サイトより:編集部)

民間企業にカネをまいて、さらなる開発を加速させるほうが企業の競争力を高めることにもなります。無駄な装備庁の開発はやめるべきです。

中国のヒューマン・ノバスカイ・テクノロジーは、軍用壁面透過レーダーを開発、販売しています。


同社では10年ほど前から開発を開始したそうですが、イスラエル某社とほぼ同じラインナップです。既に人民解放軍では採用されているそうです。
そして震災用などの消防向けの民生型も作っているそうです。

一方、旧技本で開発を始めた壁面透過レーダーはどうでしょうか。未だに実用化されていません。

そもそも需要がありません。個人装備すら途上国以下の陸自で割高になる国産品を大量に買える余裕はないでしょう。海外に既存品があるのですから、それを買えばいい。調達コストは相当安いはずです。
仮に電波の周波数帯の問題があるのであれば、総務省に掛け合えばいいだけの話です。

それを嫌がるだけのために、多額の税金を溝にすてるのを是としたわけです。

こういうことをマニアは是とします。

彼らは開発費や防衛予算の原資は税金であり、限りがあることを理解できません。また基本官がやることはすべて正しいと思い込んでいます。疑うことができません。

研究データを取るためのデバイスも実装しているので装置が大きいと説明して頂いた上、装備化の際は腕に装着できるサイズにしたいと構想を明らかにしてくれました。このように装備と研究品は別物なのです。ジャーナリストであるはずの清谷氏は、何故この程度のことも理解せず、聞き出すこともできなかったのでしょうか? 私には、解説員から話をろくに聞き出せなかったことを、解説員のせいにしているだけに思えます。

御自分が以下に素晴らしいか自画自賛です(笑

Dragoner君は無知だから知らなかったようですが、この時点で既に米軍では手のひらサイズのものを採用していました。ぼくはその資料を防衛省の高官に渡したので、陸幕が技本のこのレーダーのサンプルの調達数を減らしたそうです。単価を教えたら驚いていました。

そもそも開発してもできるものは他国と大同小異です。
それにユーザーのリクエストもないのに、多額の開発費を掛けて、他国の何倍も高い単価で製造しても、まともな数は調達できないでしょう。事実いつもそうなっています。

つまりDragoner君のような軍オタは木をみて森を見ることができません。

そもそもこの当時の陸幕の海外視察費用は年間90万円程度に過ぎず、しかも退官前の偉い人のご褒美旅行に使われており、情報収集には使われておりませんでした。

つまり、まともな情報う収集をする気がなかった。これはご案内のようにぼく執拗に報道したので、現在は予算も増えて、現場の人がいくようになっています。スポールイナーにしても大手のダイニーマが日本に子会社があることもしらず、ネットで写真をみて開発してトンチンカンなものを作っちゃったわけです。

こういう事実をDragoner君は知らないのか、見ないふりをしています。まあ前者でしょう。
まあ、予算とか金勘定ができず、ミクロしか見えない軍オタがプロとしてお金をもらって原稿書くのは犯罪的ともいえるかと思いますよ。

当局や現状がすべて正しいというのは思考停止で、ある種カルトな人たちの典型的な思考形態です。
実際問題とて自衛隊防衛省礼賛しているDragoner君のような書き手と、ぼくのように具体的に問題点を指摘し、改善を提案している人間とどちらが国防に寄与しているでしょうかね?

同じ時期に開発を始めた中国メーカーはこの手のレーダーを製品化して人民解放軍が採用して、民間型まで作っているわけです。
対して技本主導のプロジェクトは自衛隊での採用は未だにありません。
単価が高くてとても調達できないでしょう。

本来は陸幕で調達計画を立てて、それに沿って開発を進めるべきです。
本来何個中隊で何個必要で、そのコストがいくら、開発費がいくら、総額がいくらのプロジェクトであり、これが妥当か、ということを検討すべきです。それで本当に必要か、必要ならば開発か輸入かを議論すべきです。それをしないで、はじめから開発するから竜頭蛇尾になって、結局まともな装備化がされません。

ところが技本(現在は装備庁)の開発は実証研究と装備開発の区分すら曖昧で、研究のための研究になっています。これは各幕からも批判されていることころです

技本(装備庁)の研究といっても実態はメーカーに丸投げです。
メーカーも防衛省依存で民間企業としての意識がないから、防衛省の仕事さえしていればいいやと思っている。
防衛省はこれを震災などでも活用すると言っていますから、消防や自治体向けにも販売すれば生産数が増えてコストも下がります。ところが防衛省以外には売れないという従来までの「常識」をいうのでしょう。

率直に申し上げれば、防衛省需要だけ考えていれば先細りです。これを官民ともに真剣に考えて、防衛省以外の内外の市場もターゲットに製品を開発しなければコマツのように撤退するしか道はないでしょう。

IDEX2019のレポートは東京防衛航空宇宙時評で。

■本日の市ヶ谷の噂■
また軽装甲機動車と高機動車の後継によせばいいのに日立が助平根性を示しているとの噂。

Japan in Depth に以下の記事を寄稿しました。
軽装甲機動車をAPCとして運用する陸自の見識

東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
コマツが装甲車輌から引かざるを得ない理由 防衛装備庁、陸幕ともに認識は甘かった


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2019年3月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。

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清谷 信一
軍事ジャーナリスト、作家

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