ガソリンスタンドは地域の防災拠点「最後の砦」

2019年06月01日 06:00

先日(5月28日)、大阪府内の400を超えるガソリン販売事業者が加盟している「大阪府石油協同組合」と「大阪府石油商業組合」が開催する通常総代会懇親パーティに出席して参りました。地域のガソリンスタンドを守ることは、6年間活動してきた私にとって特に重要な政策課題。これを機に少し論考をまとめてみたいと思います。

昨年11月のブログにも書きましたが、いま全国で1日に3件のガソリンスタンドが廃業していると言われるほど、この業界は非常に厳しい経営環境に直面しています。経産省の調べ(昨年7月発表)によると、平成元年(1989年)に58,285件だった全国の給油所は、平成29年(2017年)には30,747件と、ほぼ半分にまで減ってしまいました。

その背景にはいくつか要因がありますが、まずは業界内の動き。平成の30年で、元売りと呼ばれる石油精製企業の再編が相次ぎました。

昭和期には十数社存在していた元売りは、約20年前に6社、約10年前には5社に再編され、この4月には創業期から独立を続けてきた出光興産も昭和シェル石油と経営統合、元売りは3社に集約されました。そうした中で店舗の統廃合が進み、元売りの子会社店舗の存在感が高まった一方で、地場の中小店舗の減少が進みました。

ただ、もうひとつ大きな要因として石油需要の減少が挙げられます。少子高齢化や燃費が向上したことで、2017年度に51,833千KLだったガソリン需要は、2023年度には45,382千KLにまで落ち込む見通しです(出典:経産省資料)。

全体的な市場環境はこのように確かに厳しいのですが、一方で、2011年の東日本大震災、2016年の熊本大地震、そして昨年2月の福井県の大豪雪、9月の北海道胆振東部地震など大きな災害が発生した際、復旧・復興を支える上でなくてはならないインフラとして機能したのがガソリンスタンドです。

外からの支援物資を運ぶトラックや緊急車両が使うガソリンはもちろんのこと、停電したエリアの避難所や病院が自家発電などに使う燃料を、多くの困難を乗り越えて現場に届ける。まさに我々の命を守る「最後の砦」といえます。

photoB/写真AC

ちなみに、昨年の北海道での地震の際は、全道が停電するという未曾有の事態に見舞われ、営業ができなくなった店舗が続出した教訓から、非常用発電機を備えた店舗を増やす必要性もこのほど北海道で報告されました(出典:北海道経済産業局資料)。

私も知事退任後の民間企業時代、札幌に数年住んでいたので実感しますが、北海道のように過疎化や高齢化が加速している地域では、そもそも平時にも給油所の経営が難しくなっていて、いざという時に、拠点となるべき給油所がないという状況も想定される危機的な状態です。都市部の大阪でも、何キロも行かないと給油所がないという郊外の問題は同様です。

このように、災害の際に公共インフラとして不可欠な地域のガソリンスタンドの機能をどう維持していくか。私なりに取り組んできたのは、中小企業の受注機会を確保する「官公需法」に基づいて、自治体が平時から継続して燃料を発注するなど、ガソリンスタンドの機能維持に配慮した協定を結ぶ(災害時の燃料供給協定)といったことです。(ちなみに「官公需」とは、国や自治体などが事業者から物品の購入やサービスの提供、工事の発注などを行うことを言います。)

国からも各自治体に協力をお願いした結果、この数年、各地の自治体が地元の石油組合と災害時の燃料供給協定を締結し、平時の供給についても随意契約も結ぶなど、着実に動きが広がってきました。

令和の時代、人口減少・高齢化が進む中で、地域の防災機能の維持は重要な課題です。また、クルマ社会も、自動運転や電気自動車、IoT化など、「CASE」といわれる100年に一度の大変革の波に突入しています。

しかし、こうして社会が大きく変化していく中にあっても、いま目の前で大きな災害があれば、街場のガソリンスタンドは必要不可欠な存在であることに変わりはありません。公共インフラを守るのは政治の使命だと考えます。


太田 房江(おおた ふさえ)参議院議員、元大阪府知事
1975年通産省(現・経済産業省)入省。2000年大阪府知事選で初当選し、日本初の女性知事に。2008年に知事退任後、民間企業勤務を経て、2013年参院選で初当選。厚生労働政務官などを歴任。公式サイトツイッター「@fusaeoota」LINE@

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太田 房江
参議院議員(自民党)、元大阪府知事

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