世界の正統派保守で安定してるのは安倍自民党だけ

2019年06月01日 16:00

ヨーロッパ議会選挙で明らかになったのは、中道右派(穏健保守)と中道左派(社会民主主義)の不振だ。

欧州議会選挙の結果(総数:751議席)

中道右派(EPP)が179議席・・・・改選前216
中道左派(S&D)が153議席・・・・改選前 153
親EU穏健リベラル派(ALDE+R)が105議席・・・・改選前69 *マクロン派など
極右(ENF)58議席(7.7%)・・・・改選前36
EU懐疑派・直接⺠主主義(EFDD)は58議席 ・・・・改選前 36 *五つ星など
環境派EFA 69議席 ・・・・改選前 52
保守改革が53議席・・・・改選前77 *イギリス保守党など

欧州議会に限らず、世界の穏健保守政党を見ると、アメリカの共和党は右派ポピュリストというべきトランプに乗っ取られた形だし、ドイツ社民党、英保守党、フランス共和党、スペイン国民党、韓国旧与党など軒並みダメである。インドの人民党もかなりヒンズー過激派だ。

世界でうまくいっているのは、もはや日本の自民党だけなのではないか。

官邸サイトより:編集部

それは、どうしてかといえば、自民党が保守強硬派(ヨーロッパ的にいえば極右)が独立した政治勢力にならないように懐柔するのに成功し、一方で公明党との連立によって中道左派的な価値観も否定しないし支持も確保しているからだ。

保守へのアピールは靖国神社には参拝しないし保守強硬派(ヨーロッパ的には極右と呼ばれそうな傾向も含む)、憲法改正も実行しないが、外交的成功と保守的な人々やその価値観への敬意を示すことでとりあえず満足させている。

一方、政策においては公明党の要望をかなり取るなど実質的にはむしろアメリカ的にはリベラル、ヨーロッパ的には穏健左派的ですらある。つまり、姿勢としては右派的、実行はリベラルなのである。

それに対して、ヨーロッパの保守政党は、その逆で、政策的には欧州統合以外については保守派的なのだが、姿勢においてアンチ右派的である。とくに、メルケルは東西冷戦の時代に生きただけに、移民とか難民に理解を示しすぎである。

ナチスなどに回帰しているなどと言われるのが嫌さに常識的な範囲の民族主義、国民主義に敵意を示しすぎだ。これでは、極右が勢力を伸ばすのは避けられまい。むしろ、極右支持層の歓心を買う方が極右の伸長を抑えられるのに愚かなことをしているように見える。

安倍自民党の巧妙なやり方は、ロールモデルとして世界に紹介したら良いと思う。極右に20%以上も票が行く状況で、保守政党が政治の主導権を取ることは論理的に難しいと思う。

アメリカの政治の問題はまた別の要素がある。アメリカの場合、実質上、民主党と共和党の二大政党であることが制度的に保障されており、第三勢力が出てきにくい。しかも、党員投票重視だから、どうしても、共和党では保守派が、民主党では急進リベラルが強くなる。なぜなら、中道派は無党派が多いから、予備選に参加しないことが多いからだ。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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