マネックス証券のライバルは野村証券ではなく「ゆうちょ銀行」

「マネクリ」より

マネックス証券の情報サイト「マネクリ」で連載を始めて1ヵ月が経ちます。

ネット証券ですから、当然のことながら、毎日の相場情報記事が中心のこのサイト。私のコラムのような、長期投資の根本的な考え方を書いた地味な内容がウケるかどうか、正直不安でした。しかし、想定外にたくさんの方に読んでいただけているようで、まずは一安心です。

私の資産運用に対する考え方は、ネット証券にとっては、正直あまり好ましいものではありません。

まず、株式の銘柄選択はやめることを説いています。銘柄を個人投資家が選んでも、市場の平均に勝てる可能性は50%以下どころか、恐らく20%程度だと思います。であれば、そんな成果の出にくいことに時間を割くのは時間が勿体ないと思っているからです。

そして、投資信託はコストの低いインデックスファンドを活用することを薦めています。低コストの投資商品は個人投資家にとっては有益ですが、金融機関にとっては収益の低下をもたらします。正直、信託報酬の高いアクティブファンドを買ってもらった方が儲かるのです。

さらに、金融資産だけではなく、実物資産を組み合わせることを提唱しています。金融商品だけのポートフォリオから、不動産のような実物資産へ資金がシフトすれば、金融機関の預かり資産は減少します。

どれも、ネット証券の収益にマイナスになることだらけです。

マネックス証券、ゆうちょ銀行ロゴより:編集部

マネックス証券に在籍していた時、創業者の松本大さんがいつも語っていた理念は、日本人のお金との付き合い方を変えることでした。手数料の安いだけのオンラインブローカーになることではなく、金融のプラットフォームを作るという壮大なビジョンを掲げ事業を拡大していきました。

だから、ライバルは野村証券ではなく、今のゆうちょ銀行に当たる郵便貯金。日本人の個人が保有する1800兆円の資産をターゲットにしていたのです。

マネックスは、1999年の創業から20年が経ち、ネット証券を取り巻く環境も大きく変わりました。

自社にとって、必ずしもメリットとは言えないコンテンツの連載を敢えて受け入れるところに、マネックス証券の創業理念が、今も変わっていないという心意気を感じています。これからも、金融機関に忖度することなく、個人投資家目線で、切れ味の良いコラムを続けていきたいと思います。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2019年8月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。