一般質問解説① フリースクールやサポート校へ通う生徒への支援

2019年09月17日 14:00

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こんにちは、東京都議会議員(町田市選出)のおくざわ高広です。

今日から、一般質問で取り上げた内容を一つずつ解説していきます。今日取り上げるのは、

フリースクールやサポート校へ通う生徒への支援について

です。都内公立中学校の不登校出現率は約3.8%という状況です(予備軍を含めると10%をいう調査もあります)。私自身、多くの不登校当事者と接してきた経験上、その多くは、The Highly Sencitive Child(人一倍敏感で繊細な子)です。その子たちが通うことのできない「学校」について、本質的な改善が必要なことは言うまでもありませんが、それには多大な時間を要することも間違いありません。

では、学校に通うことのできなくなった児童を、そのままにしておいていいのかと言えば、そんなことはなく、今すぐに、できる支援をする必要があります。

つい数年前までは、学校に戻すことがゴールであるような指導がなされていたわけですが、教育機会確保法が2017年に施行され、少しずつ状況は変わってきています。先だって、国で不登校の児童の実態調査や交通費支援がなされる旨の報道があったところですが、その支援はまだまだ不足しています。

中でも、不登校児童が親の経済的負担を理由に人生の選択肢を狭めているような状況を変えなければならないと考えています。不登校当事者に話を聞くと、学校以外に行くことのできる場所について、自分で探すそうですが、まずチェックするのが費用がどれだけかかるか、であるとのことです。親にお願いできないと感じた瞬間に、その選択肢を閉ざしてしまうという実態があります。

不登校児童の支援を行う民間施設であるフリースクール、不登校児童の受け皿の一つになっている通信制高校とサポート校(都外の通信制では、セットになっていることが多い)、これらに通うことを希望する生徒に対して、今の制度の中で利用できるのが、以下の2つです。

✔受験生チャレンジ貸付支援事業(低所得世帯向け)

✔塾代支援事業(生活保護世帯向け)

では、今回の答弁内容は一体どういう意味だったのかということですが、

1.  受験生チャレンジ支援貸付事業について

(答弁)

受験生チャレンジ支援貸付事業により、高等学校等への進学を希望する低所得者世帯の受験生に対し、学習塾の費用や入学試験の受験料を無利子貸付しており、貸付対象には、フリースクールや通信制高校のサポート校における受験に備えるためのコースも含まれております。

(解説)

受験生チャレンジ支援貸付事業は、中学3年生と高校3年生を対象に最大20万円/年を無利子で貸し付ける制度です。貸し付けるといっても、進学を果たした生徒(進学に至らなくとも努力が認められる生徒)は、返済が免除されることになっていて、昨年は90%を越える方々が返済を免除されています。

ただし、その対象となる内容は、受験指導をするコースのみであるということです。そこで、フリースクールやサポート校を運営する皆様には、受験指導を行うコースを是非設けていただき、この制度の活用を図っていただきたいと考えるものです。

一方で、もうお気づきの通り、中学1、2年生や高校1、2年生が対象にはならないという課題もあります。これについては、現在の受験生支援では手が届かないので、別の目的をもたせた新しい事業の構築を提言していく所存です。

2. 塾代支援事業について

(答弁)

生活保護世帯の子供に対し、学習塾を利用する費用等を助成する区市を包括補助で支援しており、補習教室としての機能を有するフリースクールも対象としております。また、福祉事務所が生活保護法に基づき、高等学校等就学費として、通信制高校とそのサポート校の授業料等を支援、支給しているところでございます。

(解説)

生活保護世帯については、区市町村がその支援の中心となるわけですが、学習指導機能を有するフリースクールも支援の対象となり、中1・2、高1・2は年額15万円、中3、高3は年額20万円が上限となります。

一方で、通信制高校及びサポート校については、(生活保護に関する法律上は)高等学校等としてひとくくりにされ、就学費として合わせて年額11万8千円の支援があります。通信制高校とサポート校合計で年間70万円以上かかるとも言われていますので、不足と言わざるを得ません。

サポート校は学校教育法上は、法的根拠のない教育機関とされているのに、生活保護制度の上では学校とされてしまうのは何とも不可解なのですが、つまり、塾代支援をサポート校には当てられないということです。

今の制度上で工夫を凝らすなら、サポート校として生徒の生活支援、学習支援(授業と補習)、就職支援をしている施設は、学習支援(補習)機能だけを、サポート校で提供するプログラムから(便宜上)外に出し、その部分だけ塾代支援を受けられるようにすることは可能かもしれません。保護者からすると、サポート校に50万円出すのも、サポート校に30万+補習コースに20万出すのも、同じ50万だと思いますので、検討の余地はあるかと思います。

なお、フリースクールにしても、通信制高校及びサポート校にしても、そこに通う必要性が認められなければならないというハードルがあるらしく、区市町村担当者の理解を得なければならないともいえます。

3. 総括と今後の提言の方向性

生活保護世帯や低所得世帯への支援はあるものの、足りていないというのが現状です。今後は、この拡充を求めていきますが、私としては、以下の3方向から政策提言をしていく所存です。

いわゆる私学無償化の対象になっていない都外の広域通信制高校の費用についても無償化の対象とすること。(生活文化局所管)

※平成31年(2019年)3月に中学を卒業した者のうち、1,495名が都外広域通信制高校を選択(都内通信制を上回る)

フリースクールやサポート校などの民間教育施設へ通うことを希望する低所得世帯や生活保護世帯への支援を拡充すること。(福祉保健局所管)

③将来的には、所得に関わらず、誰もが自ら希望する学校外教育(学習塾以外も可)を受けられるようにすること大阪市塾代支援事業の拡大版)。(現在の都庁には適切な部署が存在しない)

この質疑にあたっては、大阪市塾代支援事業について意見交換くださった皆様、不登校特例校はしうち教室NPO高卒支援会杉浦代表と都に対して陳情を提出いただいた学生の皆さん、東京シューレ学園奥地代表らから伺った現場が直面する課題をもとに質疑を作成したものです。この場を借りて、改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。

~以下、質問&答弁~

まず、学校を取り巻く生きづらさについて伺います。

都内公立小中学校の不登校出現率は増加の一途をたどっています。幾人もの不登校当事者と接してきましたが、その多くは人一倍敏感で繊細な子であり、彼らが不登校という形で表現したその声を、大人はしっかりと受けとめる必要があります。

不登校当事者の踏み出す一つの選択肢が通信制高校です。先ごろ発表された令和元年度学校基本調査によれば、平成三十年度の中学校卒業生十万二千百六十名のうち、三千百七十三名が通信制高校へと進学しており、これは平成二十五年度の約二・五倍です。そのうち約半数が、都外の広域通信制高校を選択しており、何と平成二十五年度の約七倍です。

都外の広域通信制高校は、その多くがサポート校と連携し、生徒の卒業、進学、就職などを支援するさまざまなプログラムを提供しています。しかし、サポート校はおろか、都外の広域通信制高校の費用も、いわゆる私学無償化の対象にはなっておらず、二つの費用を合わせると年間七十万円を超えるともいわれます。

私自身、サポート校を運営していた経験がありますが、家庭の所得格差が子供の選択肢を奪うことのないように、社会全体で支えていくことが必要です。

Q1.そこで、生活保護世帯や低所得世帯がフリースクールに通うことや広域通信制高校及びサポート校への進学を希望した際、どのような支援を講じているのか、取り組み状況を伺います。

A1.福祉保健局長答弁

まず、低所得者世帯等への進学支援についてでありますが、都は、生活保護世帯の子供に対し、学習塾を利用する費用等を助成する区市を包括補助で支援しており、補習教室としての機能を有するフリースクールも対象としております。

また、福祉事務所が生活保護法に基づき、高等学校等就学費として、通信制高校とそのサポート校の授業料等を支援、支給しているところでございます。

さらに、都は、受験生チャレンジ支援貸付事業により、高等学校等への進学を希望する低所得者世帯の受験生に対し、学習塾の費用や入学試験の受験料を無利子貸付しており、貸付対象には、フリースクールや通信制高校のサポート校における受験に備えるためのコースも含まれております。


編集部より:この記事は、東京都議会議員、奥澤高広氏(町田市選出、無所属・東京みらい)のブログ2019年9月17日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおくざわ高広 公式ブログをご覧ください。

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奥澤 高広
東京都議会議員(町田市選出、無所属 東京みらい)

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