新年を読む:皇后雅子様は時代の閉塞感を破ったか?

2020年01月01日 06:00

あけましておめでとうございます。2019年もいろんな出来事がありました。その中には単に当事者の問題だけでなく現代社会のいろんな矛盾や課題を反映したものもあります。心理学的に考察することで、幸せな2020年へのヒントになるものもあります。

12月9日の誕生日に際して記念撮影に臨まれた皇后さま(宮内庁サイトより)

ここでは皇后雅子様の誕生から2020年を考えてみたいと思います。心理学者は国家や政治の問題には口を出さないのが本懐です。しかし、この出来事はある意味で日本のエポックメーキングになったかもしれません。

今の日本には就職氷河期とその少し上のバブル末期就職組、すなわち「A little younger雅子様世代」の閉塞感に満ち溢れています。皇后雅子様の誕生がこの世代の希望になるかもしれません。そこで、今回は本懐を少々破って考察してみたいと思います。

55歳のプリンセス

約30年前、元外交官、当時の言葉でいうところの「キャリアウーマン」に「スーパー」の冠が付きそうな華々しい経歴の雅子様が天皇家に嫁ぐ…。
この事実に日本中が騒然となりました。

当時20代だった日本のプリンセスは、2019年までずっとプリンセスでした。このことが良いことか悪いことかは評価が分かれると思います。
ただ、その間には様々な報道がありました。雅子様の心身の不調をマスコミが報じることもあれば、皇室の伝統と雅子様の不和を当時の皇太子さま自らが告白することもありました。

心身の不調はある意味で無理もないものです。
プリンセスとして生きるライフキャリアのプランがなかったであろう女性が、みんなが期待するプリンセスの器に閉じ込められたのです。その詳しくはここで書くまでもなく、皆さんご存知のことと思います。

A little younger世代に例えれば…

プリンセスの立場をサラリーマンに置き換えることは難しいのですが、「期待の若手」に該当するかもしれません。このポジションはある意味で華々しいポジションですが、いつまでも「若手」という位置づけは人によっては辛いものです。言葉は悪いですが、「若手」とは「半人前」…すなわち、未完成な存在という意味なのですから。

A little younger雅子様世代のサラリーマンもある意味で似たような立場に閉じ込められていました。高度成長期もバブル経済も終わり、組織の拡大もほぼほぼ終わりました。上の世代が組織内の要職を占める中で、長年「若手」扱いを強いられた方もたくさんいます。非正規雇用の場合はある意味で「永遠の若手」のように扱われている方もたくさんいます。

何とか要職についたとしても、役職定年で雅子様のご年齢の前後で役を解かれてしまう方のほうが多いです。頑張っても報われない…このように閉塞感を感じてしまう40代、50代を大量に生み出す構造が日本にはあったと言えるでしょう。

雅子皇后の誕生でサラリーマンは直接は何も変わらないけれど…

しかし、雅子様は55歳で皇后になられました。皇室が世代交代したのです。皇室は国民の象徴であり、ある意味でお手本です。健全な組織で世代交代がない組織はありません。
「いつかは自分たちの時代が来る…」閉塞感に悩む世代は雅子皇后の誕生でこのような希望を持てたかもしれません。

近年、社会変動が激しい中で様々な意見や見解がある問題ではありますが、30年近い積み重ねの中で確かな足跡を築いた実例が生まれたことに勇気を得た方もいたことでしょう。
2020年は私たちにとっても閉塞感を打ち破る、新らしいイノベートのある年になるかもしれません。この1年を楽しみたいですね。

杉山 崇
神奈川大学人間科学部教授・心理相談センター所長、心理学者・心理マネジメント評論家
脳科学と融合した次世代型サイコセラピーの研究やTV・雑誌などマスメディアでの心理学解説で知られる。

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杉山 崇
神奈川大学人間科学部教授

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