今、地震や風水害が起こったら、避難所運営はどうするのか?

2020年04月27日 06:01

新型コロナウイルス感染拡大時における「災害時の避難所運営」への準備が進んでいない。多くの自治体ではその緊急性を認識しているものの、目先の新型コロナウイルス対策が優先で手が回っていないのが正直なところのようだ。

我が国においては、いつ何時、大規模災害に遭遇するか分からない。実際、きのう(4月26日)朝にも関東地方で最大震度4の地震が起きた。そして特にこれから夏から秋にかけては台風の襲来が予想される。昨年秋には、千葉県を中心に大きな台風被害が発生した。

今自治体には、深刻な災害が発生した場合に「避難所運営における感染症対策を、果たして適切に行うことができるのか」大きな課題が突きつけられている。本稿では「新型コロナウイルス下における避難所運営」について、北海道標茶町(しべちゃちょう)の事例を交えながら、課題を整理しておきたい。

内閣府より示された指針

4月1日、内閣府より都道府県などに対し「避難所における新型コロナウイルス感染症への対応について」の通知がなされ、7日には上記の「さらなる対応」として具体的な要点が示された。要約すると以下の通りである。

(資料1)

上記について、実際に対応を行うのは市町村などの基礎自治体である。

「1:三密を防ぐ」という観点からは、できるだけ多くの避難所を開設することが示されている。ある自治体では、指定避難所ではない「図書館や集会所」の他、市内の「大型複合施設」を避難先の候補としたり、密閉を避けるために「夏場は屋外の利用」や、「在宅避難」を選択肢として考える自治体もある。「ホテルや旅館」などの活用はもちろんであるが、自治体によっては宿泊施設そのものが無いところも少なくない。

また、避難所の「2:感染リスクを減らす」ためには、換気やドアノブの消毒など細かな感染症対策の徹底が求められており、避難所運営のガイドラインの大幅な改定も必要となってくる。

より慎重な対応が必要となってくる「3:感染者の把握」「4:軽症者・発症者への対応」については、発熱やせきの症状がある人には専用スペースを確保し、他の避難者と動線を分けることを想定しなければならない。もちろん、感染が疑われる方には、専用の個室とトイレも必要など細心の注意が必要である。

避難所での感染対策の事例:北海道標茶町

先月、感染拡大が続く中、実際に避難所での感染対策をとった自治体がある。北海道標茶町(しべちゃちょう)では、3月11日に大雨によって2300人ほどの住民に避難指示が出され、一部住民が避難所に避難をした。すでに、新型コロナウイルスの流行が始まっていた北海道において、標茶町においては、いくつかの感染症対策が実施をされた。以下、筆者が標茶町職員の方から伺った話を元に記載しておく。

まず、避難所として体育館5か所用意されたが、実際には3カ所の利用(避難者は合計254人)となった。受付で体調確認、マスク無しの方には行政が備蓄しているマスクを配布して対応、入り口には消毒液を置いた(※動画は北海道ニュースUHBより)

フロアではできるだけ密接を避けるため、床に敷いているマットにテープを貼って1人当たりのスペース(1人2メール四方)を区切って対応し、その他に定期的な換気が行われた。また、実際に体調不良者は発生しなかったが、専用の部屋も別途用意していたとのことである。

課題としては、避難所を増やすことによって配置する職員・スタッフがその分必要になってしまい、人員が足りなくなってしまう恐れがあること、また、物資も複数に輸送しなければならなくなり、迅速な輸送対応が出来なくなってしまうことなどが挙げられた。標茶町に出た避難指示は3時間程度であったため事なきを得たが、もしも、大規模で長時間に及ぶ対応であったなら非常に厳しいものであったとのことだ。

自治体は早急に対応準備を

上記の他にも想定しうる課題は実に多い

「必要な備品・医療品を準備できるか」
「感染症対策や避難所先など住民周知を徹底できるか」
「感染症に対する専門的な対応が現場で可能か」
「医師や保健師など専門家を配置できるか」
「職員やスタッフ自身の感染症対策が可能か」
「高リスクの高齢者や既往症の方で対応を変える必要性があるのではないか」
「ペットを避難所に連れた場合スペースや衛生環境を確保できるか」
「自治体外のボランティアを募集できるか」

など、私が思いつくだけでも従来の災害対応で求められる以上の課題が山積している。

今回は避難所の運営に限定したが、もちろん災害対応全般対して特別な対策が必要である。コロナ下においては、首長はじめ大勢の人間が一同に会する「災害対策本部」の現場でさえ、クラスターの危険性がある。災害対策会議すら容易に開けない状況も想定しなければならないのだ。

これは根本的に防災計画を見直さなければならないレベルの問題である。いずれにしても、これから待ち受ける6月の雨季に備え、各自治体は早急に各種対応を協議し、5月中には方針を確定させ、職員やスタッフはもちろん、住民に対する徹底した周知を行わなければならない。

(参考資料)
・内閣府ウェブサイト「避難所における新型コロナウイルス感染症への更なる対応について」4月7日
・NHKニュースWEB「避難所へ避難”することになったら…? 災害時と新型コロナ」4月12日
DMTC(災害対策トレーニングセンター)ウェブサイト
・人と防災未来センターウェブサイト「新型コロナウイルス感染拡大に伴う臨時レポートvol.1」避難所開設での感染を防ぐための事前準備チェックリスト

※上記は非常に有用なチェックリストであるので、ぜひ参考にしていただきたい。

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!
堀江 和博
日野町議会議員 / 元衆議院議員公設秘書 / 滋賀県出身・京大院卒 / 政治行政・選挙研究

過去の記事

ページの先頭に戻る↑