新型コロナ:姿勢論だけ繰り返す石破茂氏に幻滅

2020年05月01日 11:30

自民党の石破茂元幹事長は30日に放送されたBS-TBS番組「報道1930」に出演し、新型コロナ対策などについて語った。

内閣府HPより

安倍政権を「後から撃つ」とか党内から批判されたことを踏まえ、総理をはじめとする政権の努力を評価するなど、与党内からの反発されそうな言動はなく、それは好ましいことだった。

しかし、説明は姿勢論に終始し、注目される発言は、9月入学に慎重な姿勢を示したことと、アビガン投与を病院の倫理委員会を経ずに政府の方針としてやれということくらいであった。また、政府の部内にいないのでよく分からないがと、与党の有力政治家としては不思議な発言も目立った。

9月入学については「いいことだが」、自分は「慎重派」とし、現場の意見をしっかり聞かねばならない、そのうえで、しっかり体制を整えてするべきで、4か月の準備期間は短すぎるなどとした。

「学年の分断」も生じるとしたが、いかなる意味で学年が分断するというのかは不明。まさか、現在の学年クラスを2つに分割すると誤解しているのではないと思うが。

準備と言っても、実質的には新学年を9月まで遅らせて始めるというだけだ。そうはいっても、自習等をやっているだろうから、時間的余裕はできることはあっても、逆にどんな混乱が教育現場で起きるという認識だったのかは不明のままだった。

入試改革も現場の意見を聞かなかったから混乱が起きたと言っていたが、延々と時間をかけて議論されており、一部の反対を押し切ってやろうとしたというだけだ。教員組合なども含めて現場の反対があればできないというなら、そもそも、教育改革など不可能であるから、不思議な意見であった。

いずれにしろ、橋下氏らのように、先に断行することを決めて、細目は後で議論すればいいという姿勢とは正反対であった。

新型コロナウイルスに関する緊急事態の解除については、解除するための一定の基準が必要だとの認識を示したが、果たして、あらかじめ、そういう数字を確定して、総合判断はしないということが適切だとは考えられない。

PCRについては、岡田晴恵氏や民間検査機関の代表なども同情し、むしろ石破氏は聞き役になったが、内容は豊富なものの、肝心のところは、曖昧にしてしまうので結局、何が問題なのか分からずじまいだった。

PCR検査が総理の指示にもかかわらず、なかなか目標値に達しないことについては、石破氏は新型インフルエンザやSARSなどの被害が少なかったから準備ができてなかったとかまずかったが、中国や韓国は被害深刻だっただろうが、欧米などに比べて日本が体制ができてなかったとは聞かない。

検査センターなどを作ることも述べていたが、それができるならやっている。また「人手が足りないのなら器械で」といい、番組製作サイドも「いい器械が世界的な争奪戦で入らない」などとしていたが、表が出てくると設備は十分で稼働率が悪いだけであることが判明。

試薬や綿棒が足りないとかいろいろ可能性は指摘されたが、TBSの取材力でなにが焦点なのか明らかにできないのか?遺伝子の活用は日本は遅れているとか口走ったものの、日本の遺伝子研究が遅れているとは思えず、謎は深まるばかりで終わった(日本では遺伝子検査一般が嫌われており保険の点数が低いというのはその通りらしいが)。

しいていうと、陽性患者の退院時に二度続けて陰性でなくてはならないというのがネックで入院患者を増やさず、また、退院のための検査で忙しいので、新規を増やせないようなこともいって、それが原因であるようにもとれた。

医療崩壊を避けるために検査数を抑えるということを批判して、「検査数を抑えること自体が医療崩壊」とかいっていたが、世間で普通に使われている医療崩壊とは、キャパを超える入院患者が押し寄せて、手の付けようがなくなることであって、検査数を抑制的に短い期間運用することを医療崩壊とかいう言葉の使い方は聞いたことがなかった。

治療薬候補のアビガンについては、安倍総理が柔軟に使えるように指示を出し、病院の倫理委員会の承認があれば使えるのだが、石破氏は倫理委員会を経ずに使えるようにしたら、などと、ややわけのわからない提案。

どういう場合は使うべきだという分かりやすい基準を、せいぜい参考意見として出す程度ではないか。

また、総裁選挙で防災省を提案したように、アメリカのCDCのような機関をつくることを主張していたが、それはいまの問題ではあるまい。そして、そこで、「政治家の思惑をいっさい廃止して」とか言っていたが、現実には経済への影響等まで含めてそんなところに権限集中はできない。

私は石破氏の防災省構想を批判してきたが、昔、私が国土庁にいたときの経験からしても、普段、ほとんど仕事がない機関は、急に仕事が入ってもいい人材が置かれているはずもないし、訓練なども余りできず、機能するはずがない。

というわけで、安倍首相に無礼な言葉遣いや皮肉をいわなかったのは「成長」かもしれないが、自分が首相なら何をするというのかほとんど分からずじまい。せいぜい「アビガン使え」と、これも、彼の心情からすれば、関係者を説得することを試みるということくらいか。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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