5月6日で終わる緊急事態宣言は、7日以降も延長される方向らしいが、その根拠は何だろうか。4月7日に安倍首相が記者会見で宣言を発表したとき「東京でこのペースで新型コロナの感染拡大が続けば、2週間後には1万人、1カ月後には8万人を超える」と述べた。
しかし緊急事態宣言から2週間たった4月21日の東京の累計感染者数は累計3300人。これはニューヨーク州の約3万人の1割で、新規感染者数は減っている。当初は嘲笑していた海外メディアも、最近は「日本の奇跡」と呼ぶようになった。その原因は何だろうか。
日本の新型コロナ死亡率は驚異的に低い
安倍首相が緊急事態宣言を発令したとき、東京の累計感染者数は約1200人、死者は31人だった。当時はアメリカでは感染爆発が始まり、ニューヨーク州では毎日700人以上が新型コロナで死亡していた。
「ニューヨークは2週間後の東京だ」と海外在住者がネットで騒ぎ、マスコミも野党も「安倍政権の対応は後手に回っている」と批判していた。もし感染爆発が起こったら、2400人、4800人、9600人・・・という指数関数的な増加で1万人を超えることは論理的にはありうる。
しかし感染爆発は起こらなかった。4月29日の新規患者数は47人。ピーク時のほぼ2割に減った。感染はピークアウトしたように見える。これを「自粛のおかげだ」という人は、次の図を見てほしい。
この図はG20諸国の新型コロナ死亡率(人口100万人当たり)の推移を示したものだが、大きく2つのグループにわかれている。対数グラフなので差が小さく見えるが、最上位のイタリアの452人に対して、日本は3人と150倍の差がある。