爆破に隠された北朝鮮の本音

2020年06月18日 16:00

北朝鮮が16日午後2時49分ごろに北朝鮮南部の開城工業団地にある南北共同連絡事務所を北朝鮮が爆破・破壊しました。この施設は、2018年4月、板門店で開催された南北首脳会談で南北融和の象徴として作られた施設です。

爆破の理由、北朝鮮の言い分ですは、5月末に韓国から北朝鮮の独裁者、そう、金正恩氏を批判するビラを気球で飛ばしたことに対する対抗措置だというです。これを聞いて私は意外におもいました。なぜなら、こんなことは今まで30年とやってきたことですから、別に今回かんしゃくを起こす話ではないわけです。どうやら本音はアメリカとの関係にあるみたいです。

この爆破された施設は先ほども言った2018年の南北首脳会談の結果ですけれども、その翌年の2019年には2回目の米朝首脳会議がベトナムで行われました。しかしここでは交渉が決裂し、北朝鮮にとっては成果がありませんでした。金正恩氏が中国以外の外国に行くということ自体すごいことなんですが、トランプ大統領に袖にされたわけです。

もともと親北朝鮮の現韓国大統領の文在寅氏、北朝鮮からすれば自分たちの要求をアメリカに伝える、橋渡しをする、口添えをしていくという役回りを期待しています。実際に2回行われたトランプ大統領と金正恩氏の米朝首脳会談でのお膳立てとして、韓国の文在寅大統領が間に入って「北朝鮮はこういうふうに言えば、ちゃんと聞きますから」みたいな橋渡しはやっていたわけです。ところがトランプ大統領に伝えているような柔軟な姿勢を北朝鮮は見せない、非核化が進まないからアメリカは交渉決裂後そのままにしている。一方の北朝鮮からすれば文在寅大統領は自分たちの思い通りには動かないという状況です。

コロナウイルス感染拡大の最中だった今年4月に、韓国では総選挙をやって文在寅与党は大勝しました。政権は安定してるのにその5月になっても何も動かないので、北朝鮮は挑発をしていました。その背景には北朝鮮の経済状態が悪いからです。北朝鮮は何度も約束を破り、国連から制裁を受けている、すなわち経済制裁下にあります。それに加えて新型コロナウイルスで、中国との貿易もストップしてしまいました。北朝鮮にとって中国は貿易の9割を占めてますから、これがストップしてしまうと、北朝鮮は生活必需品も入らない状態です。北朝鮮は物が自由に買えるというわけではなく、食料などの配給もストップしています。だから北朝鮮が怒っているのは住民を守るためではなく、人民が反体制・反金正恩にならないようにするためです。自分たちに矛先が向かないように常に外国に対して何かを仕掛けていく点は中国と同じですね。

さて今回の爆破を受けて、北朝鮮の手先として期待をされている韓国は、「朝鮮半島の平和定着を望むすべての人々の期待を裏切る行為。これにより発生するあらゆる事態の責任は全面的に北朝鮮側にある。状況を悪化させる措置を続ければ、我々は強力に対応すると厳重に警告する」と韓国国家安保室のキム・ユグン(金有根)第1次長が発言しました。北朝鮮は俺たちは言葉だけじゃない、本気でやったぞっていうのが今回の爆破ですが、韓国の言葉はおそらく言葉だけでしょうね。この点は悲しいかな日本と同じように見えますね。対抗措置どころか、韓国の与党「共に民主党」はビラ散布禁止法を制定すると発表し、「仲良くしようよ」とまで言ってます。

自分は約束を守らないんだけれども、相手に対しては「お前、約束違反だ」と言って一方的に非難し、そしておねだりしてくるこれ北朝鮮の常套手段ですが、韓国の日本に対する常套手段でもありますね。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2020年6月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

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中田 宏
元衆議院議員、前横浜市長

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