都議会波紋:公明幹事長の自民 川松都議批判は「逆ギレ」

2020年09月30日 06:00

菅首相が衆院解散を断行する上で、政治日程で意識せざるを得ないのが来年夏の都議選だ。連立友党の公明党が国政選以上に重視しており、仮に都議選の近くに衆院選を行うと、公明は支援母体の創価学会員の高齢化もあって負担が重い。このため、公明・学会から菅首相には「適切なタイミング」での解散総選挙を要望するのが火を見るよりも明らかとされる。

公明幹事長が都政新報で異例の名指し批判

当の都議会は目下定例会の開催中だが、いまちょっとした波乱含みらしい。公明党の東村邦浩幹事長が都政新報(9/25号)の各会派幹事長インタビューで、アゴラでおなじみ、自民党の川松真一朗都議を批判するように名指しし、都政・都議会関係者の間に静かに注目を集めているようだ。

東村氏(公明党HP)川松氏

記事を見てみると、東村氏はコロナ対策などへの所見を述べた後、都議選に向けた自民党との連携について尋ねられたのに対し、「自民党の真意が分からない」と口火を切る。その上で(太字は筆者)、

先日、同党の川松真一朗総務会長代行が雑誌に都議会公明党を批判する記事を寄稿しており、会派内では相当、怒っている議員もいる。都議会自民党の山崎一輝幹事長は記者会見で公明党と連携する考えを示していたので、これから話し合いが進むのだろうと思っていたところで記事が出て、困惑している。

などと川松氏を名指しした。「困惑」とあるが、不快感を示したのは明らかだ。都政新報の各会派幹事長インタビューは議会日程の慣例で行われるものだが、その中でスキャンダルを起こしたわけでもないのに、他党の議員を名指しすることが異例だ。

川松氏が指摘した都議会公明のリアル?

では、東村氏が問題視する雑誌での川松発言とは何か。この雑誌は、宗教界の動向を追いかける専門誌「宗教問題」。同誌の8月31日号が「小池百合子にひれ伏した宗教票」というメイン特集を組み、川松氏が小池都政と都議会公明党の関係についてロングインタビューに応じている。

前回の都議選の後、私もかつて取材に応じたこともあり、同誌はたまに読んでいるが、川松氏の発言をいくつか紹介してみよう(太字は筆者)。

小池都政と都民ファーストの会(以下都ファ)、公明の関係について、川松氏は

今の都政に何かの問題が生じても、よくも悪くもマスコミや世論は、まず小池知事や都ファに矛先を向けるわけです。都議会公明党にしてみれば、小池知事や都ファはこの上ない「弾除け」だと思いますよ。

という現状認識を披露。新人議員も多く、突然都議会第一党になった都ファの議会運営が不慣れな隙間を縫うように、公明が主導権を奪い、都政を裏から動かす影響力を発揮していると指摘する。

そして、4年前の小池都政誕生直後に、公明から自民との都政での連携関係を絶ったことで、連立政権を組む国政との「ねじれ」について話題が及ぶと、

2016年12月に、都議会公明党の東村邦浩幹事長が突然、「自民党との信義という観点でこ れまでやってきたが、完全に崩れたと思って結構だ」と言い放って、そのまま関係を絶たれた。われわれとしては「えっ?」という感じで、あまりに一方的な出来事でした。いまだによく意味が分かりません。そして亀裂は入ったままです。われわれとしては、それ以外に言いようがない。

とコメント。そしてこの間の都議会公明党側の対応については

あえて言えば、小池知事と公明党は似た者同士だと思うんですよ。まずポジションのことを考える。政策とか理念とか、そういうことは後回し。ただそれが、現在の都議会のあり方を少しおかしくしている面があるんじゃないか。私はそこに関しては、厳しくもの申していきたいと思っているんですが。

などと“機会主義”ぶりを手厳しく指摘している。さらに自公の復縁の可能性は否定していないが、東村氏について

東村氏は悪い人ではないと思うのですが、どうも調整力に難があり、きちんとしたリーダーシップをとれていないと思います。

などと述べた上で、公明の藤井富雄元都議、自民の内田茂元都議という往年の都議会に君臨した「ドン」との間に“力量差”があるとの見方を示している。東村氏にとっては耳の痛い話ばかりだ。

しかし、これに対して、東村氏が都政新報の取材に公然と反応してしまうのは、人によっては「指摘が図星だから逆ギレしている」と受け取る向きもあるのではないだろうか。

川松氏の言い方は都政ウォッチャーが冷や冷やするほど辛口ではあろうが、公平に見て指摘していることは事実だ。

都議会議事堂

都議会自民党の本音は?

当時の都政情勢を振り返っても、都議会公明党の小池都政への擦り寄りぶりは尋常ではなかった(参考:当時の産経新聞)。実際それを主導したのが東村氏、つまり「(自民から見れば)最初にケンカを売ってきた張本人」であることは、都政や報道関係者は周知のことだ。

むろん都議会自民党も、東村氏が述べるように、山崎幹事長が歩み寄りの姿勢は示している。ただ、これは政治の世界でよくあるように、公党として「大人の対応」をしていることに過ぎまい。山崎氏の本音は知らないが、ほかの自民党関係者や支持者たちも複雑な心境であろう。

小池知事が台頭してきたからといって長年の友好関係を反故にした張本人に対し、「人のことを殴っておいて謝罪もないのに」と、殴られた側が不満をくすぶらせていて、それをにじませるくらいは「筋論」からみても仕方ないのではないだろうか。

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新田 哲史
アゴラ編集長、報道アナリスト

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