先週9月23日・24日は7月に豪雨災害に見舞われた熊本県人吉市に出張しました。RCFではヤフーさんと連携しながら支援にあたっており、またもう一社規模の大きい支援が固まったことから、支援内容を検討しています。復旧復興にむけた各論点について、現状をお伝えします。
1.ボランティア
現在も人吉市はボランティアセンターを金・土・日で続けています。ニーズもボランティア数も減少傾向です。但し、引き続き課題があります。
球磨川流域は今後も災害が懸念されますが、治水の方針は今後決まります。その方針を受けて、移転するのか改修してその場で暮らすのか、といった生活再建の方針をこれから決める方が少なくありません。そうした方は、今後、壁や天井をはいで泥を出す作業が必要になりますが、数ヶ月先になるとボランティアはもういないのです。(人吉市の松岡市長の発信を参考にして下さい)
ボランティアは年内がピークでしょう。住民の皆さんにボランティアへの依頼の大事さを周知し、ニーズがあることでまたボランティアを募っていくことが必要です。
2.コミュニティ支援
東日本大震災以降は、地域コミュニティ支援も復興において大切だと認識され、行政も積極的に取り組むことになりました。RCFでも、UBSグループの支援により釜石で5年間にわたりコミュニティ支援を続け、その取り組みは岩手県庁とともに他地域にも広げることにつなげています。
こうしたコミュニティ支援は、その後災害が起きるたびに「地域支え合いセンター」が担うことになりました。人吉市でも予算化されており、社協中心に20人体制で被災者を支えることになります。
ただ、公金で運営されるために、個々の被災者に寄り添ったり、新しい取り組み(例えばこども宅食など)を行うことができません。そこで地域の民間団体の取り組みが並行されることが大切で、したがって西日本豪雨災害に見舞われた宇和島市では、うわじまNPOセンターが設立され、社協による支え合いセンターを補いました。(公助と共助ですね)
人吉では半壊以上の世帯が2900。こうした皆さんを支えていくために、社協に加えて民間側の動きをいかに形成するかがこれからの課題です。
3.事業者支援
今回の豪雨災害では、人吉市では観光・商業施設が球磨川流域に集中していましたが軒並み被害を受けました。旅館は日々再建を進めていますが、早くて来年の春。復旧まで2年かかる旅館もあります。
東日本大震災以来、事業者が3/4補助されるグループ補助金が事業再建の目玉です。今回さらに改善され、グループではなく単独でも申請可能となり、コロナウイルスの影響をうけた事業者等では、定額(全額)補助されることになりました。また、PRなどソフト面での支援も手厚くなっています。
しかし課題もあります。補助はあくまで被災した範囲のみ。新しい取り組みは、自力で行う必要があります。またソフト支援も今年度(来年3月まで)に実施する必要があります。
復興は2年目から開始されます。復旧後のまちの状況を踏まえて事業者は新サービスや新規事業を仕掛ける必要があり、そうした取組を支えていく必要があります。
災害後、人吉には二回訪問し、来月も伺います。
現場で感じるのは、人吉・球磨の被害は、東日本大震災以来である、ということです。一方で、コロナ禍の影響により、全国の報道が広がっておらず、また現地への支援も足りません。RCFとして継続的に支援を進めていきますが、ぜひ人吉球磨の復興にも関心を寄せて頂ければと思います。
Yahoo募金さんで、人吉への支援を求めています。手数料をのぞき、全額上記のような現地の皆さんによる人吉復興に活用されます。ご協力をお願いします。
編集部より:この記事は、一般社団法人RCF 代表理事、藤沢烈氏の公式note 2020年9月29日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は藤沢氏のnoteをご覧ください。