下がる日本の不動産、上がる北米の不動産

2020年09月30日 14:00

国交省発表の7月1日時点での基準地価はコロナ後の不動産市況がどうなるかバロメーターとして注目されていました。昨日発表されたその数字は全用途で全国平均マイナス0.6%となり、住宅地ではマイナス0.7%、商業地もマイナス0.3%と完敗でした。東京圏や大阪圏の商業地がわずかにプラスですが、他はマイナスがずらりと並びます。

(写真AC:編集部)

(写真AC:編集部)

個別で見ると住宅地についてはプラスだったのが全国で5都県のみ。最も上がったのは沖縄で4.0%、あとは福岡の0.8%が目立つぐらいで東京都も0.2%にとどまっています。下落で目立つのは岐阜県の2.0%や山梨、静岡、三重県(それぞれ1.6%)です。

商業地はプラスマイナスが半々ぐらいですが、大きく伸びているのはやはり沖縄で6.2%、あとは宮城県の3.0%が目立つところ。県レベルでは取引数が少なくなるため、やはり、都市圏の数字が大勢を反映していると考えています。

あのコロナの最中では不動産を買いたくなると思う人は少ないでしょう。また、ビジネスが閉鎖状態になっていたわけで商業地の不動産に積極的に資金を投じるという気にもならないと思います。その点ではこの数字はナチュラルではないでしょうか?ちなみに7月2日の本ブログでは公示価格の発表を受けて「5-6年続いた不動産ブームも終わりが近いのかもしれません」と書かせて頂いておりました。

不動産価格については今後は非常に狭いエリアで大型開発に伴い波及効果が出るところが注目されるとみています。つまり、日本全国押しなべて上がったり下がったりというわけではなくそこに住みたい、行きたい、資本が注入されるか、といった場所になれるかどうかが注目されます。

個人的には都心では10年後に大きく変貌する池袋が本命だとみています。池袋と言えばどうもあか抜けなかったのですが、東口は「サンシャイン60」との動線が確立する中、旧豊島区役所跡地の再開発が成功し、新区庁舎共々うまく展開してきています。ただ、このところ渋谷が目立ち過ぎたので着目されなかっただけでしょう。

事実、オフィス賃料は池袋の上昇率が都市圏ではトップとなっています。今後、懸案の東武百貨店を含む西口駅前の4.5ヘクタールの大規模開発がスタートすれば街はすっかり変貌するはずです。これに誘発されてその後背地にある古いアパート群も変わるとみています。また、山手線沿線では池袋は東武線、西武線がJRに並列しているので駅上空間としては新宿と並び最大級のサイズがあり、開発余地という意味では圧倒的な潜在規模があります。

さて、日本の不動産市況はまだらな感じとなりますが、北米では住宅がブームになっています。日経には7月の全米の住宅価格指数の前年同月比の上昇率は4.8%と2018年11月以来の伸びを記録したとあります。理由は高額所得者による住み替え需要であります。記事には「アリゾナ州フェニックスやワシントン州のシアトルなどが人気化しており、伸びが加速している。コロナ流行を機に在宅勤務が普及し、大都市を離れて郊外の住宅を買う動きも増えている」とあります。

ではカナダではどうかというと当地大手不動産会社が発表した予想では今年の下期は4.6%程度の不動産価格の上昇が見込まれるとあります。特に都市部を出て、郊外に環境の良い住宅を求める傾向が強まっているとあります。アメリカの動きとほぼ同じであります。

北米に於いて住宅とはその人のライフスタイルに応じて一生の間に何度も住み替えをするという発想があります。概ね、独身時代のアパート、新婚時代のこじゃれたコンドミニアム、子供ができてタウンハウス、少し余裕ができて戸建て、子供が大きくなったら大きめの都市圏のコンドミニアムに戻るといった感じがメインシナリオなのですが、最近、子供が大きくなったら郊外で自然に囲まれながらゆったり過ごすというスタイルも増えてきています。コロナでこの傾向を後押しした可能性は高いと思います。

ちなみにどっからそんな買い替えの金が出るのだ、という質問があると思いますが、居住用住宅の買い替えには税制上のメリットがある上にそもそも住宅価格はアメリカもカナダも株価同様、上昇し続けているので買い替えるとき、売却物件を通して得はすれども損することは少ないのであります。なぜ、価格が上昇するかと言えば移民政策による人口増、特に人口ピラミッドのバランスが良く、若くて今後数十年にわたり、経済的貢献、つまりお金を生み、お金を落としてくれる人を受け入れているということです。

一方、商業施設は北米も厳しくなってくると思います。先日も郊外にあるある巨大商業施設に行きましたが人は歩いているものの店の中は客の入りが非常に悪いという印象でした。

最近当地の宣伝動画を見ているとライフスタイルにカヤックやハイキングといった自然との戯れをイメージに押し出すところが増えています。この辺りが不動産取得をより貪欲にさせているのかもしれません。

まさにところ変われば、であります。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年9月30日の記事より転載させていただきました。

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