リベラルを考える① 政府の大きさ

2020年10月27日 14:00

当地BC州の選挙が24日に行われ、即日開票されました。結果は全87議席のうち、与党のNDP(中道左派)がほぼ二大政党化していた中道右派のリベラル党を大きく突き放し、55議席を獲得、単独過半数となり、安定政権を確保しました。

NDPのBC州首相は全カナダで最も評価が高く人気もあったことから事前から大勝するとみられており、予想通りでした。選挙戦を通じて感じたのは大きな政府対小さな政府であります。一般的に保守系は小さな政府を目指します。革新系はバラマキを含めた政府支出やサイズが大きくなる傾向がある中、コロナ禍で人々がどのような反応を示すのか大変興味がありました。

個人的にはコロナはほぼ全ての人にとって苦しかった、だから政府のバラマキに近い各種補助はありがたかったということが票につながったとみています。あるいは感染症予防では厳しい対策で東部カナダとは雲泥の差で感染者は低く抑えられています。これらが評価につながったと考えています。

今、カナダでは連邦レベルでも解散総選挙の声があります。実現させるにはややハードルが高いのですが、なぜトルドー政権が今、選挙を検討するのか、と言えば「勝てる」からであります。現政権も中道左派、そして多民族国家であるカナダに於いて様々なレベルの人をコロナだけでなく平常時も含め、強く平等意識を高め、人権問題に取り組んできました。その姿勢は時として様々な圧力すら吹き飛ばし、正義に勝るものはないというスタンスでやってきたと思います。

こんなカナダは世界で三本指に入る住みやすい国家のひとつですが、私が不満なのは「時間は大河のごとく流れていく」であり、物事がちっとも進まず、日本なら数カ月で終わるものでも何年もかかったりするのです。その点で経済的スピード感は明らかに欠如しています。その証拠にカナダが世界に誇る会社はとても少ないことに気が付くと思います。

隣国、アメリカではいよいよ来週、アメリカ国民の判断が下ります。仮に下馬評通りバイデン氏が当選すればこのBC州での中道左派の圧勝と同じ源流と考えてよいのでしょう。そして多分ですが、それが先進国の流れであることは否定できません。アメリカではメディアの影響も示唆されていますが、中道左派は明らかに国民目線で優しいため、コロナのこの時期には圧倒的有利になります。

選挙結果を受けて当地では再び支援金の餅が撒かれる予定です。アメリカではペロシ下院議長がコロナ追加経済対策の主役に躍り出ていますが、トランプ大統領と与党共和党の議会と三つ巴の戦いで選挙が終わるまでは何も決められないでしょう。終わった時点で何らかのバラマキが決まるはずです。

写真AC:編集部

ところで私はこのお金、いったいどこから出てくるのだろうと思うのです。無料のマネーはないわけでどこかでつじつまを合わさねばなりません。

日本では麻生副総理が日本で配った一律10万円についてその多くが貯蓄に回り、景気浮揚効果は限定的だったと述べています。多分、その裏付けは預金額が急増したことを根拠にしているのだろうと察します。使わないマネーならなぜ、今、撒かねばならないのか、これが麻生副総理の考えでリーマンショック時の12000円の定額給付金という餅も効果はなかったとずっと主張しています。

やさしさ溢れるユートピア思想は苦しい初期にはとても有効で多くの人の心をとらえます。共産主義もその考え方はこれに近かったわけですが、ご存じの通りそれが世界を席巻することはありませんでした。それよりも注目すべきは共産主義下の国家では人々は決して一枚岩になることはなく、国家は亀裂だらけでした。当時のソ連、中国、北朝鮮という三つの国家だけをとらえてもその主義や政策に於いてまるでバラバラで一貫性などありません。

リベラルとは何か、厳密な定義はありません。ウィキにコンパクトなまとめが出ているのですが、① 個人の自由や多様性を尊重する「リベラル」 ② 放任されれば本当に自由を享受できるのか、各人の自由な人生設計を可能にするため国家の支援が必要と考える「権力による自由」の発想の二つがあるとされます。そして欧州は①、アメリカは②の潮流とされます。日本は言葉の一人歩きになっているようですが、多分②の方に近いのではないでしょうか?

私は時として人々の要求はどこまで真意があるのだろうか、と感じることがあります。お得な話だから乗っかるという軽さが見て取れなくもありません。私はばらまく餅巻きは違うと考えています。ベーシックインカム制度も明らかに本質が違うとみています。そして②のリベラルを求めるならどこまで当局が関与するのかでありますが、手綱が緩すぎるのは選挙対策という本質に目をつむってしまったところに現代の病があるような気がします。

本稿、明日に続けたいと思います。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年10月27日の記事より転載させていただきました。

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