コロナ下で始まった命の選別

2021年01月10日 06:00

今、コロナ感染症が急激に広がり、テレビを見る限り、すでにいろいろな意味で命の選別が始まっているのだと感ずる。

sturti/iStock

救急やICUのベッドがコロナ患者で埋められていると、病院は脳梗塞や心筋梗塞の患者を受け入れられなくなる。近くの病院で処置を受けることができれば助けられる命が、搬送に時間がかかれば助けられなくなる。

テレビではコロナ患者を収容できなくなっている問題についての議論が多いが、すでにコロナ以外の病気の治療に問題が波及している。救急隊から病院に収容される段階で、命が選別されているかもしれない。

そして、人工呼吸器や人工心肺装置がすべて使われている段階で、同じ病院内で一人の中等症患者が重症化する場面を思い浮かべてみよう。医師はすでに装着されている人工呼吸器を外すことには抵抗がある。人工呼吸器を外せば、その患者の死のリスクが格段に高まるからだ。その患者が別の疾患で余命いくばくもないことがわかっていても、自分の行為で死の引き金を引きたくないのだ。中等症から重症化した患者は、他の疾患はない。こんな場面がすでに起こっているかもしれないし、これから、起こるかもしれない。

政治家や行政は、そんな姿を思い浮かべることができるのだろうか?感染症の爆発的な広がりと今の対策は、あまりにも乖離している。以前にも述べたが、すぐにウイルスゲノム解析をすべきではないのか。アメリカでは2倍の強さで感染するウイルスが広がっている可能性が示唆されている。

経済を元に戻すには、まずは感染症の制御だ。困っている方々にはお金を印刷して配布するしかない。ハイパーインフレのリスクがあっても、それを伝えて日本人に覚悟を求めるしかないと思う。


編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2021年1月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!
中村 祐輔
医学者、内閣府SIPディレクター

過去の記事

ページの先頭に戻る↑