ついに登場!説明も謝罪もしない石野卓球さんという救世主

田中 紀子

私、最近毎日Twitterをチェックするのが楽しみな人ができたんですね。
それが電気グルーヴ ピエール瀧さんの相方…いや“愛方”(?)石野卓球さんです。

石野卓球氏ツイッターより:編集部

ピエール瀧さんが事件を起こされてからも、変わらずメンバーとしての友情というか愛を表現されていて、毎日そのTwitterを拝見しながらほっこりしています。
一番うれしかったのは、一般人からの問いかけで、

もしも、石野卓球さんの目の前に、瀧さんが居て、2人きりになったら、なんて言葉を、かけますか(・・?

という質問に対して、卓球さんが

I love you

って答えられたんですけど、これ本当に泣けました。

石野卓球、ピエール瀧容疑者へ「I love you」…現在地はポルトガル「火遊び中」(スポーツ報知)

卓球さんに対して、例のワイドショーで「謝罪しろ!」とかふざけたことをぬかしたMCがいたようですが、卓球さんは、そんな話はどこ吹く風で、海外にお出かけになり、Twitterでぶれることなく卓球ワールドを展開されています。

本日も日刊SPA!でこんな記事が掲載されましたが、
ピエール瀧問題で、石野卓球に“説明責任”はあるのか?
むしろ「道義的説明責任がある」とか「相方が逮捕されたんだから神妙にしろ!」みたいな江戸時代の五人組制度支持者がまだこんなにもいるんだ!と驚く次第です。

ハッキリ言います、「あるわけね~だろ!」。
そして依存症者とその家族のためにもこんな見せしめ制度、これを機に是非とも廃止して頂きたいと思っています。

あのですね、薬物問題を起こした人が一番自分を責めているんですよ。
自分を責めているから、誰とも繋がれなくなっちゃうんですよね。
そして孤独や孤立から追いつめられていってしまうわけですよね。

だから周りの人達にさらなる負担を強いてしまったとなると、ますますさらにその罪悪感を感じなくちゃならなくなり、自分がますます嫌いになり、自分らしい生き方ができなくなるじゃないですか。

私だってですよ、もし自分がやったことで、夫やスタッフに迷惑をかけることとなって、その上自分が謝罪する前に、夫やスタッフが自分の代わりに謝った・・・なんてことになったらすごく苦痛だし、しかもそれは自分のことであっても、自分の言葉ではないんですからそもそも意味がないですよね。

また、薬物事犯や依存症問題は、治療の観点から言っても、人間関係の境界線がすごく大切で「自分の責任は自分でとる」べきなんです。

つまり我々だと依存症者が借金しまくってくるのを、ギャン妻や親たちがそれを尻拭いしちゃうからどんどん病気が悪化しちゃうわですよ。

余計な手出しをせず、もし借金が払えなくなったら自分で頭をさげ、法的な手続きをしたり、分割で払えるようにしたり、そういう謝罪も含め「自分でやる!」ってことがとても大切なんですね。

だから全く関係のないピエール瀧さんとは別人である、石野卓球さんに「謝れ!」なんて言ってる人達は、依存症対策推進の上でも逆行する大迷惑な人であって、そういう一蓮托生の精神論を振りかざす奴らのお陰で、どれだけの人間が死に追いやられてると思ってんだ!と怒りの気持ちでいっぱいですね。
あなた達こそ依存症業界に「謝って!」と言いたいです。

この芸能界の悪しき慣習を打ち破ってくれたのが石野卓球さんで、卓球さんはまるで、闘牛士のように余裕の構えで、ひら~り、ひら~りと、つっかかってくるニセ正義感に燃えた、自分を良く見せたい猛者達をかわしているんですよね。

全然、かっかするでもなく、ホント余裕~っていう感じで、保釈されたピエール瀧さんの髪型をいじってみたり、保釈されたという報道が出ると、「えー!?死刑じゃないの?」なんてツイートしてみたり、かわし方が遊び心満載で「そうきたか!」とついつい笑っちゃっうんですよね。

今まで誰かが問題をおこすとメンバーが「涙の謝罪」なんてことになって、どうして日本人はこう浪花節が好きなのか?と思いましたけど、そういう日本社会に対しては、謝っちゃった方が楽なんですよね。
ひどい時は、同じメンバーが急に手のひら返しで叩いたことすらありましたからね。

だから卓球さんが、こうして謝罪も説明もせず、本当は沢山の心労や悲しみとか悔しいこととか、理不尽なこととか、残念なこととか抱えていらっしゃると思うんですけど、そんな中でも、「人生を楽しむ!」っていうスタンスを表現して下さっていること、それこそ本当の強さと優しさだと思うし、そっちの方がずっとずっと大変なことだと思うんですよね。

誰かが窮地に立たされ、周りの人を巻き込むバッシングにあった時、その人まで神妙な顔して小さくなって謝っている姿を見た時と、「俺、関係ないから全然平気だよ~!」って顔をしてくれているのでは、どちらが当事者のためになるでしょうか?当事者は救われた気持ちになるでしょうか?

そしてどちらが本当に勇気ある人だと思われますでしょうか?
答えは歴然としていますよね。

しかも結果として、私たちの回復プログラムとしてもすごく良い方向に世論を導いて下さっていて、感謝の気持ちでいっぱいです。

卓球さんのお陰で、私たちが待ちにまった道がやっと見えてきました。
まさに「パイオニア石野卓球」です。
「卓球さん以降、五人組制度のような悪しき慣習が廃止された。」
と、今後メディアで言われるようになって欲しいです。

卓球さん、本当にありがとうございます。
謝らない卓球さんのお陰で、救われている仲間達が沢山います。
感謝の気持ちでいっぱいです。


田中 紀子 公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表
競艇・カジノにはまったギャンブル依存症当事者であり、祖父、父、夫がギャンブル依存症という三代目ギャン妻(ギャンブラーの妻)です。 著書:「三代目ギャン妻の物語」(高文研)「ギャンブル依存症」(角川新書)「ギャンブル依存症問題を考える会」公式サイト