日本のこれから - 原淳二郎

2010年05月11日 15:54

いまどきの若者論をAGORAに書いた直後、NHKがこれからの日本という討論番組でいまどきの若者論を放送していた。

いまどきの若者は、お酒をのまない。車に興味がない。普通に暮らせればいい。

化粧にもブランド商品にも興味がない。結婚して子孫を残すことさえ気にしない。要するに欲しいものがない。

オヤジやオバサンから見ると、理解できないライフスタイルなのだ。会社で役職につきたくない、なんていう若者は想像すらできないらしい。


私にも若い時代はあった。思い返すと、会社の派閥争いに巻き込まれたくなくて、お酒は飲めないことにしていた。それぞれの派閥が毎晩のように夜の飲み屋に誘っていた。

囲い込みをかねた飲み屋通いである。そんなものに巻き込まれて
たまるか。だから酒は飲めないことにしていた。
車には興味があった。仕事に必要だった。車を持っていたからといって彼女に持てたわけではない。

現代は車がないと暮らせない地方は別にして、車がなくても暮らせる都会では、若者が車に関心を持たなくても当たり前である。近所でも車を手放した人がけっこういる。私も車は燃料代、税金、維持費がかかりすぎるから、手放したい。

 若かったころ、貧しかった。しかし、ぜいたく品が欲しいとは思わなかった。
何かを買って見せびらかしたい欲求もなかった。会社で出世したいとも思わなかった。新聞記者なら出世しようなんて思うヤツはいなかった。

考えてみればいまどきの若者の考え方と何も変わらなかった。物欲も出世欲も持たなくなった若者が増え、日本のこれからが心配だといわれるが、昔の若者だって物欲も出世欲もなかった。

自宅でお酒を飲むことを宅飲みというらしい。若者は会社帰りに同僚や先輩と夜の世界に繰り出すことを嫌い、早々に帰宅する。宅飲みしながら、自分の趣味を楽しんでいるそうだ。

酒を飲みながら先輩のお説教を聞かされるくらいなら一人で宅飲みした方が気楽なのだ。この考え方も昔からあった。現代日本の専売特許ではない。

夜の銀座や北の新地は飲み代は高いし、社用族でなければ行くことさえ無理だった。交際費が削られたいま、サラリーマンが早々に帰宅するのは当前だ。

昔、夜ヒマだったらマージャンをするのが日常的だった。いま雀荘がめっきり減った。
いまでもマージャンをしたいという若者はいる。ネット上のマージャンばかりではつまらないというのである。
会社での付き合い、地域での付き合いが薄れ、人間関係が希薄になっている。

このままでは、企業の活力、国際競争力が失われると大人は心配する。所得の向上を目指さない。消費もしない。税収は上がらない。国家財政が破綻に近づく。よく耳にする論理だ。

しかし若者には自分のライフスタイルがある。一日中ケータイでだれかとつながっていたい。人間関係が希薄になっているわけでもない。

問題は成長しなければ日本はダメになるという神話である。成長して所得が伸びて税収が上がらないと借金は返せない。ある種の恐怖のシナリオである。

家計が伸びないなら節約して借金返済する。国家でも借金があれば節約して借金減らしをするのが当たり前である。未来に不安があるなら防衛手段を講じる。

いまどきの若者のライフスタイルはやはり時代を先取りしている。経済が縮小したって心配ない。

そもそも80年代一人当たりGDPが世界3位になったこと自体、円高のおかげであり、国民の多くは実感していなかった。GDP大国日本はそもそも神話だった。

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