なぜ増税は消費税であっては駄目なのか - 小飼弾

2010年06月17日 05:30

同じ日の同じblogの記事に突っ込みを入れるのも恐縮なのだが…

駄目なものは駄目なので。

逆進性

消費税の欠点として最大のものがこちらである。

404 Blog Not Found:ワープアのあなたが消費税アップに断固反対するべき理由

消費税はフラットなので累進も逆進もないように見えるのだが、それは収入から消費にまわす率=消費性向が一定である場合にのみそうだと言える。実際には、より高収入の人の方が貯蓄にまわす率が高められるので、消費性向は高収入な人ほど下がることになる。

どれくらい逆進性があるかは同記事をご覧いただくとして、消費税増税論者はこれに対し「こういう補正もある」「ああいう補正もある」ということは言っても、具体的にその補正を入れるとどうなるかという具体的な数値を示す事はない。同記事は税務に関しては一納税者という素人、すなわち私が書いたものであるが、同記事程度のシミュレーションすらないのだ。あったら是非紹介して欲しい。

消費に対する抵抗

今の日本の経済停滞の一番の理由は内需の停滞であることは。リフレ派も財政均衡派も同意している。二人いれば三つ意見が飛び出す経済学者たちが珍しくこの点に関しては一致しているのだが、なぜか消費税が消費に対する抵抗であることに関して口をつぐむ者が多いのはなぜだろう。

その数少ない例外が経済物理学者、高安秀樹である。著書から引用してみる。

経済物理学の発見 P. 191

最近、日本の抱える700兆円を超える財政赤字の問題を解消する切り札として、消費税を上げることも止むなし、という雰囲気が強くなっています。消費税を1%上げると国全体での税収は2兆円増える、と期待されています。根拠は、現在5%の消費税で年間10兆円程度の税収があるから、その比例関係がそのまま成り立つだろうという考え方です。しかし、5%を10%、あるいは15%にまで増やしても、税収がそのまま比例するという保証はありません。現在、消費税の対象となるお金の流れはおよそ年間200兆円あるわけですが、その流れは変わらないというのが上記の理論ですが、消費税はお金の流れに対する摩擦のような働きをすると考えられますから、ある程度以上摩擦が大きくなると、その影響で流れそのものが悪くなるということは十分ありえます。

消費税導入は、1989年。その二年後にバブルが崩壊して以来、日はいまだ昇らず。これは単なる偶然だろうか?

免税点

消費税導入の発端が、かつて964とか10.5.3とかと呼ばれた、サラリーマンと自営業者の所得税補足率にあったことはよく知られている。

なぜ増税は消費税でなければいけないのか? – 藤沢数希 : アゴラ

違法でなくても、パチンコ屋や風俗店のように不特定多数の客が利用する現金商売の業種では、税金の補足が難しい。筆者のように100%収入が補足され、ごっそりと税金をとられているサラリーマンからすると、このような状況は非常に不公平感が強い。

しかしこれらの業者が全て消費税を納める義務があるかというと、そうではない。免税点というものがあるのだ。DFSのことではない。年商がそれを下回っている場合、消費税納税を免除するという規則である。

かつてその額は3,000万円。何を隠そう、私もその恩恵にかつてあずかった一人である。3,000万円を超えそうになった年度には、よく請求を来年度に先送りしたものだ。

現在この額は1,000万にまで引き下げられたが、964にブーイングしていた人々はなぜかこの件になると静かなのはなぜだろう。

政権崩壊

消費税に関して、その導入以来日本では三つの大きな節目が存在する。

消費税 – Wikipediaより抜粋

  • 1989年(平成元年)4月1日 消費税法施行 税率3%
  • 1994年(平成6年)2月細川内閣で消費税を廃止し、税率を7%とする“国民福祉税”構想が世論の批判を浴びる(即日白紙撤回)。
  • 1997年(平成9年)4月1日、既に村山内閣で内定していた地方消費税の導入と消費税等の税率引き上げ(4%→地方消費税を合わせて5%)を橋本内閣が実施

この三つには共通点がある。その後政権が崩壊したことだ。

最初の消費税導入は、単に政権が崩壊したに留まらず、自民党の下野にもつながった。そうして折角手に入れた連立政権を潰したのも、また消費税。そして消費税増税に踏み切った直後の参院選は、与野党逆転につながった。

現与党の中の人々が、このことを忘れているわけがない。

それでは増税は不要なのか?

というわけで消費税増税は議論こそされ、少なくとも現政権がそれに踏み切ることはないしするべきでもないというのが私の意見であるが、それでは財源をどうしたらよいのか。

長くなったので、続きは次回ということにさせていただく。が、ヒントはここに上げてもよいだろう。

次回はこのグラフからはじまる。

Dan the Taxpayer

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