いろいろ考えたけどやっぱりリフレを支持します- 池田信夫

2010年07月08日 10:22

藤沢数希さんの記事には、目から鱗が落ちました。私も、同じ趣旨でリフレ政策を支持します。

日銀は、デフレ脱却議連の提言に従って2%超のインフレ目標を設定し、無制限に国債を買い取るべきです。日銀が拒否したら政府は総裁を更迭し、国会決議によって国債を引き受けさせればよい。日銀があらゆる有価証券や不動産を買って1000兆円以上の資金を供給すれば、数百%のインフレ(あるいはバブル)が起こり、実質賃金も実質政府債務も激減し、年金の実質額も大幅に減って老人から現役世代に巨額の所得移転が起こり、日本経済の問題は一挙に解決します。


「ゼロ金利でマネタリーベースを増やしてもインフレは起こらない」という多くの金融経済学者の議論は誤りです。インフレは貨幣的現象だが、サージェントもいうようにハイパーインフレは財政的現象なので、日銀の信任が失われてレジーム・スイッチが起これば、ハイパーインフレが起こります。これは途上国ではありふれた現象で、それを止めているのは中央銀行の政策なので、ブレーキをはずせばいいのです。

二つのレジームは複数均衡なので、両者の中間のマイルドなインフレで止めることはできない。「日銀が狂った」とマーケットが判断すれば、ただちに金利が暴騰し、円が暴落して、大幅なインフレが起こるでしょう。しかし物価が上がったら日銀が金融を引き締めてはだめです。インフレ率というのは物価の上昇率なので、引き締めるとデフレになって元にもどってしまう。そういう常識的な行動をマーケットが予想すると、最初から何も起こらない。

だからクルーグマンのいうように、日銀は無責任な行動にコミットし、ブレーキを壊す必要があるのです。白川総裁が約束しても誰も信用しないので、大多数の人々の予想を決定的に変えるには、白川氏を更迭して亀井静香氏が(議員辞職して)総裁に就任し、参院選に自民党から出馬した三橋貴明氏を副総裁にし、理事をすべて金子洋一氏や勝間和代氏などのリフレ派に交代させるぐらいのショックを与える必要があります。

大インフレによって一時的には大規模な倒産が起こり、失業率は数十%に達するでしょうが、日本には生きている意味のないゾンビ企業が多すぎるので、この際それを一挙に清算すれば、政府が「構造改革」なんかするより、はるかに速く問題が片づきます。このような一時的ショックによる失業は、価格調整がすみやかに進めば、産業構造の転換で吸収できます。金融資産は大幅に減価するが、それは海外に逃避すればよい。

最終的には、亀井総裁を更迭して「新円」に切り替えれば、インフレは止まります。それには数ヶ月から数年かかり、物価がオーバーシュートして数百倍のハイパーインフレになって日本経済が壊滅するリスクもありますが、今のようにゆるやかに衰退するよりましです。終戦後の焼け跡から、日本は世界史上最高の成長を実現したのです。

池田 信夫
アゴラ研究所所長 青山学院大学非常勤講師 学術博士(慶應義塾大学)

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