緊縮財政を巡ってゼネストが頻発する南欧の様子を見ていると、崩壊前のデトロイトを思い出します。米国自動車労連が、デトロイト崩壊前にもう少し柔軟であったら、米国の自動車産業の運命も違っていたと思うと、南欧諸国の労組の動きが気になります。
先進国でありながら、国債に最高格付けがついていない例外的な国家であるイタリアと日本の財政危機も重大問題です。そのイタリアについて、先週のニューヨークタイムスは「フィアット・イタリア南部工場の労働慣行是正へ」と言う大きな記事を掲げました。
この記事は、イタリア政府が南部の失業救済を目的に巨額なインセンテイブをつけて誘致した自動車工場が、数十年を経た今でも組合の合理化反対運動と南部特有の「ケセラセラ」文化が重なり、生産性が依然として最低である実情を詳しく書いた物でした。
強い規制に守られて生きて来たイタリア自動車産業も、経済のグローバル化が始まると軒並み苦戦に陥りました。フィアット社もその例外ではなく、GMに身売りする事が略決まっていましたが、肝心のGMが労働組合の抵抗にあって、高コスト体質から脱却できず、合併話しが破談になった経緯があります。
この破談で、瀕死の危機に陥ったフィアット社が迎え入れたイタリア生まれ、カナダ育ちのマルチオネ氏は、社長に就任するや否やイタリア的な生温い経営を捨て徹底的な合理化を計り、たちまち自動車部門を建て直した辣腕経営者です。
この記事は、ナポリ郊外のポミグリアノダルコ工場の組合に対してマルチオネ社長が表明した「生産生向上に協力すれば、工場を維持するが、それが駄目なら直ちに工場を閉鎖する」と言う不退転の決意表明に流石の労働組合も折れ、会社の方針遵守だけでなく、小費い稼ぎをする為に仮病を使ってアルバイトしたり、サッカー試合があると医者に偽診断書を書かせて病欠するのが当たり前のイタリア南部特有の労働慣行とも決別する事になったと述べています。
これはイタリア南部特有のエピソードだと思いながら、読み流していましたが、意外や意外、日本にも同じ様な話しがあった事を思い出しました。
それは社会保険庁が自治労と交わした「オンライン化計画の実施に伴う覚書」です。この覚書は、労働強化を生じさせないよう配慮する(例;「キーボードを45分操作したら15分休憩」「キーボードへのタッチは1日当たり平均5000以内」)事を目的に実に97件にも及ぶ労働慣行の確認事項を網羅したものでした。
マッサージいすや運動用具の購入「ヤミ専従」を黙認する労使の野合が横行する公務員組合の実態を知り、日本には地域による「勤勉格差」がない代わりに「官民」の「勤勉格差」大きい現実に驚かされました。
かと言って、日本の労働運動全てが国や組織の発展を阻害した訳ではありません。米軍の戦車、航空機まで動員された東宝争議のような政治的争議は、国民に思想の自由のあり方に就いて大切な教訓を与え、日産争議、三井三池争議なども、戦後の新経営秩序の形成に、大きな役割を果した争議でした。近江絹糸争議などは、女工哀史的経営に反発する人権闘争でもあり、今後はBRICSでも必ず起こるに違いない民主社会の洗礼闘争ともいえる意義の深い闘争の一つで有った様に思います。
「最早戦後ではない」と言われた1961年頃になると、日本の民間労働運動は現実的経済闘争へと軸足を移し、経営者の怠慢をチェックし正当な労働報酬を確保する重要な役割を果しながら、日本の繁栄に貢献してきました。
それに対して、1960年代以降のイギリスでは、手厚い社会保障制度に依る勤労意欲の低下や、基幹産業の国有化等の政策によって、資本は海外へ流出し、技術開発は後れ、経済は停滞し、労働運動が激化するイギリス病と呼ばれる時代を迎えました。
其処に登場したのが鉄の宰相サッチャー女史です。彼女は、国有企業の民営化、財政支出の削減、税制改革、規制緩和、労働組合の弱体化などの政策を推し進めました。これらの政策に即効性が有った訳ではありません。失業者数は一時的にむしろ増加し、財政支出も減らなかったことからサッチャー首相は毀誉褒貶が相半ばする存在となりましたが、結果論から言えば彼女がイギリスを救った政治家の一人であった事は間違いありません。
「停滞の10年」以降、雇用が不安定化した日本は、慢性的な財政赤字、低迷する労働生産性、打破できない既得権益などの問題を抱えている点ではサッチャー前の英国そっくりです。
人口減少社会に突入した日本は、サッチャー改革以上の厳しい改革の必要に迫られています。世界の激変に直面した民間企業は、その存亡をかけて必死に対応していますが、問題は身分を保証された官僚と官公労です。
規制と保護では生き残れない事を証明したデトロイト、イタリア、英国の例に学び、日本国民は政府に対し「生首」を切ってでも公務員改革を断行する様、迫るべき時期に来たのではないでしょうか?
この記事は、イタリア政府が南部の失業救済を目的に巨額なインセンテイブをつけて誘致した自動車工場が、数十年を経た今でも組合の合理化反対運動と南部特有の「ケセラセラ」文化が重なり、生産性が依然として最低である実情を詳しく書いた物でした。
強い規制に守られて生きて来たイタリア自動車産業も、経済のグローバル化が始まると軒並み苦戦に陥りました。フィアット社もその例外ではなく、GMに身売りする事が略決まっていましたが、肝心のGMが労働組合の抵抗にあって、高コスト体質から脱却できず、合併話しが破談になった経緯があります。
この破談で、瀕死の危機に陥ったフィアット社が迎え入れたイタリア生まれ、カナダ育ちのマルチオネ氏は、社長に就任するや否やイタリア的な生温い経営を捨て徹底的な合理化を計り、たちまち自動車部門を建て直した辣腕経営者です。
この記事は、ナポリ郊外のポミグリアノダルコ工場の組合に対してマルチオネ社長が表明した「生産生向上に協力すれば、工場を維持するが、それが駄目なら直ちに工場を閉鎖する」と言う不退転の決意表明に流石の労働組合も折れ、会社の方針遵守だけでなく、小費い稼ぎをする為に仮病を使ってアルバイトしたり、サッカー試合があると医者に偽診断書を書かせて病欠するのが当たり前のイタリア南部特有の労働慣行とも決別する事になったと述べています。
これはイタリア南部特有のエピソードだと思いながら、読み流していましたが、意外や意外、日本にも同じ様な話しがあった事を思い出しました。
それは社会保険庁が自治労と交わした「オンライン化計画の実施に伴う覚書」です。この覚書は、労働強化を生じさせないよう配慮する(例;「キーボードを45分操作したら15分休憩」「キーボードへのタッチは1日当たり平均5000以内」)事を目的に実に97件にも及ぶ労働慣行の確認事項を網羅したものでした。
マッサージいすや運動用具の購入「ヤミ専従」を黙認する労使の野合が横行する公務員組合の実態を知り、日本には地域による「勤勉格差」がない代わりに「官民」の「勤勉格差」大きい現実に驚かされました。
かと言って、日本の労働運動全てが国や組織の発展を阻害した訳ではありません。米軍の戦車、航空機まで動員された東宝争議のような政治的争議は、国民に思想の自由のあり方に就いて大切な教訓を与え、日産争議、三井三池争議なども、戦後の新経営秩序の形成に、大きな役割を果した争議でした。近江絹糸争議などは、女工哀史的経営に反発する人権闘争でもあり、今後はBRICSでも必ず起こるに違いない民主社会の洗礼闘争ともいえる意義の深い闘争の一つで有った様に思います。
「最早戦後ではない」と言われた1961年頃になると、日本の民間労働運動は現実的経済闘争へと軸足を移し、経営者の怠慢をチェックし正当な労働報酬を確保する重要な役割を果しながら、日本の繁栄に貢献してきました。
それに対して、1960年代以降のイギリスでは、手厚い社会保障制度に依る勤労意欲の低下や、基幹産業の国有化等の政策によって、資本は海外へ流出し、技術開発は後れ、経済は停滞し、労働運動が激化するイギリス病と呼ばれる時代を迎えました。
其処に登場したのが鉄の宰相サッチャー女史です。彼女は、国有企業の民営化、財政支出の削減、税制改革、規制緩和、労働組合の弱体化などの政策を推し進めました。これらの政策に即効性が有った訳ではありません。失業者数は一時的にむしろ増加し、財政支出も減らなかったことからサッチャー首相は毀誉褒貶が相半ばする存在となりましたが、結果論から言えば彼女がイギリスを救った政治家の一人であった事は間違いありません。
「停滞の10年」以降、雇用が不安定化した日本は、慢性的な財政赤字、低迷する労働生産性、打破できない既得権益などの問題を抱えている点ではサッチャー前の英国そっくりです。
人口減少社会に突入した日本は、サッチャー改革以上の厳しい改革の必要に迫られています。世界の激変に直面した民間企業は、その存亡をかけて必死に対応していますが、問題は身分を保証された官僚と官公労です。
規制と保護では生き残れない事を証明したデトロイト、イタリア、英国の例に学び、日本国民は政府に対し「生首」を切ってでも公務員改革を断行する様、迫るべき時期に来たのではないでしょうか?


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